「“2列6人乗り”ミニバン」がスゴイ! 「前列3人シート」って便利!? “クセ強”な座席のクルマ3選

現在のミニバンでは2列シート4人/5人乗りや3列シート6人/7人乗りが主流ですが、過去には2列シート6人乗りのクルマが存在していました。今回は個性あふれる斬新なシートレイアウトのクルマを3台紹介します。

今は無き「2列シート6人乗り」のミニバンとは?

 ミニバンといえば、2列シート4人/5人乗りや3列シート6人/7人乗りが主流ですが、1990年代後半から2000年代にかけて2列シート6人乗りのクルマが存在していました。
 
 前列に3人乗れる斬新なシートレイアウトは、当時多くの注目を集めましたが、現在のミニバンでは採用されていません。
 
 今回は個性あふれる2列シート6人乗り仕様のクルマを3台紹介します。

今は無き「前列3人乗り」のミニバンとは?
今は無き「前列3人乗り」のミニバンとは?

●ホンダ「エディックス」

 エディックスは2004年に発売されたホンダのミニバン。

 ボディサイズは全長4285mm×全幅1795mm×全高1610-1635mmと、現在のトヨタ「シエンタ」やホンダ「フリード」に近いサイズ感です。

 エクステリアはショート&ワイドなボディを活かしながら、まるで疾走するアスリートの筋肉を思わせる有機的で躍動感にあふれたデザインを採用。

 そして最大の特徴であるインテリアには、前列、後列とも横3名分の独立したシートが設置された2列シート6名乗車のレイアウトとなっています。

 また6席は全て独立して前後にスライドでき、フル乗車時にはV字に配列することで乗員同士の肩が触れないような工夫も施され、さらにルームミラーをセンターではなくドライバー側にオフセットして設置。

 そのほかサンバイザーが3つ装備されるなど、様々なアイディアが盛り込まれました。

 パワートレインは、発売当初には1.7リッターおよび2リッター直列4気筒エンジンをラインナップ。

 その後パワー不足という意見もあったため、後期型では2.4リッター直列4気筒エンジンが追加されました。

 発売当時は個性的なミニバンとして大いに話題となりましたが、同時期に2列シート5人乗りや3列シート6人/7人乗りのコンパクトカーやコンパクトミニバンが次々に登場。

 これらの方が使い勝手や販売面でも軍配が上がった結果、エディックスは人気を集めることができず、2009年に1代限りで生産を終了しました。

●日産「ティーノ」

 ティーノは1998年にオールマイティに使えるハイトワゴンとしてデビュー。

 ボディサイズは全長4270mm×全幅1760mm×全高1610mmと、ワイドかつショート、そしてハイトな独特のプロポーションを有します。

 エクステリアはフロントフェイスのウイング状グリルによって、当時の日産の新しいアイデンティティを採用。

 そしてインテリアには、2列6人掛けのシートを配置します。

 前席はベンチシート風の3人掛けで左右のウォークスルーも可能ですが、中央席は盛り上がっているうえ、フロアトンネルもあることから、実際に所有していたユーザーの声では、子供用もしくは緊急用として活用されていたとのこと。

 一方、後席は前後に200mmスライドさせることができ、1人分ずつ脱着したり、折り畳むことができるなど、多彩なシートアレンジを有し利便性に貢献しています。

 また、うねるようなラウンド形状のインパネは、発売当初、有機的かつ未来的だという点で高い評価を得ていたとのことです。

 パワートレインは1.8リッターまたは2.0リッターの直列4気筒エンジンを設定。

 そして2000年には日産初のハイブリッドモデルとして、2.0リッター直列4気筒エンジンにモーターを搭載した「ティーノ ハイブリッド」が100台限定で生産されましたが、人気には火がつかず、2003年に生産終了しました。

●フィアット「ムルティプラ」

 ムルティプラは過去にフィアットが発売、製造していたクルマです。

 なかでも1998年から2003年までの前期モデルは、まるで両生類のようなデザインを有し、「世界で最も醜いクルマランキング」では、常に1位か2位に付ける存在となっています。

 その特徴的なエクステリアに着目すると、上下2個ずつ配置された複眼の昆虫を彷彿とさせるヘッドライトを採用。

 またキャビンのデザインは、当時クルマにクルマがめり込んだようだと揶揄されていました。

 そしてインテリアも個性的で、特にセンターに配置されたインパネは昆虫の巣のような、円や曲線を用いた唯一無二なデザインを採用しています。

 シートレイアウトは2列シートながら前席に3人、後席に3人が乗車可能なうえ、運転席以外は個別に折り畳んだり取り外したりでき、機能も個性的。

 それらを実現するボディサイズは全長4005mm×全幅1870mm×全高1670mmと、全長に対してかなりワイドに作られ、そのプロポーションも不評を得ていました。

 パワートレインは1.6リッターまたは1.9リッターの直列4気筒エンジンに、トランスミッションは5速MTを採用。

 その独特なデザインが大きく酷評されたことを受け、フィアットは2004年にフロントフェイスのデザインを大幅に変更した後期型を発表。

 しかし、あまりにも普通なデザインになったことで、あえて前期型を好むファンも多いという皮肉な結果となり、2010年に生産終了しました。

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