トヨタ新型タクシー車両「JPN TAXI」出発 実用にかなった独創的デザインのワケ

かねてよりアナウンスされていたトヨタの「次世代タクシー」こと「JPN TAXI」が発売され、その出発式が開催されました。どのようなクルマなのでしょうか。

「コンフォート」以来、22年ぶりのタクシー新型車

トヨタ新型タクシー「JPN TAXI」の全貌とは(1分25秒)。

 かねてよりアナウンスされていた、トヨタの「次世代タクシー」こと「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」が、2017年10月23日(月)に発売され、その出発式がお台場のメガウェブ(東京都江東区)にて開催されました。

「JPN TAXI」出発式には豊田章夫社長(前列右から2番目)や石井 啓一 国土交通大臣(前列右から3番目)が出席(2017年10月23日、乗りものニュース編集部撮影)。

 この「JPN TAXI」、なによりも特徴的なのはその左右非対称なボディでしょう。後席のドアは、左がスライド式で右が横開き式になっています。スライドドアというのは路上でタクシーに乗降する際を考えると、確かに便利でしょう。都内でタクシードライバーを務める40代男性によると、従来の車両では実際のところ、後席ドア開閉中に後ろから自転車やバイクが突っ込む事故も珍しくないもので、それがこのスライドドアで軽減できるだろうとのことです。またその開口部が広くとられているため乗降しやすいという利点もあります。

 加えて、右を横開きにしたのは、路上に停車中、後ろから来るクルマに「扉が開いていること」をわかりやすくするためといいます。

 5ナンバーサイズに収まるボディですが、室内空間は広くとられており、車いすに乗ったままの乗車も可能。日の丸タクシー(東京都文京区)の担当者によると、「これまでのタクシー車両は、車いすを搭載可能といっても後ろの荷室にお乗せするものばかりでした。この『JPN TAXI』は同乗者の隣に乗っていただけます。この差は大きいものです」と話します。なお、荷室はゴルフバッグ4つを搭載可能です。 外観は、これまでのセダン型タクシーとは一線を画すデザインで、トヨタはミニバンともトールワゴンとも言わず「タクシーのユニバーサルデザイン」といいますが、それでもやはりフェンダーミラーは健在です。もはやタクシー車両というもののアイデンティティの一部といえるかもしれません。

 ほか、通信型ドライブレコーダー「TransLog」を搭載し、そこから収集できるビッグデータをAI(人工知能)が解析し、スマホ向けアプリ「TCスマホナビ」に「レーン別渋滞情報」を配信するといいます。こちらは2018年春ごろ開始予定としています。また、そこから得られるデータを活用し、自動運転に必要なリアルタイム道路地図を生成することも視野に入れているそうです。
 トヨタの豊田章男社長は「(タクシー各社さんには)早く買い替えていただいて、地方にも(その動きを)流していただく。そうすると日本の景色も変わる」といいます。

 また、石井 啓一 国土交通大臣は「ニューヨークのイエローキャブ、ロンドンのブラックキャブのように、タクシーが日本の街のアイコンに育っていくことを期待している」と話しました。

「深藍」と名付けられたボディカラーの新型「JPN TAXI」。今後少しずつ、街中で見かける機会も増えていくでしょう。

【了】
提供:乗りものニュース

エンジンは1.5L LPGハイブリッド。グリーンキャブ(東京都新宿区)の運転手は「お客様を乗せても加速が鈍らない」と話す(2017年10月23日、乗りものニュース編集部撮影)。

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