なぜ「ジムニー女子」は増え続ける? 女性層狙いじゃないのが逆にイイ!? 人気インフルエンサーが語る
スズキ「ジムニー」は昨今老若男女から人気を集めています。その中で「ジムニー女子」と呼ばれるブームも存在。なぜカクカクしたジムニーが女子から人気なのでしょうか。
スタンダードになった「ジムニー女子」! イベント仕掛け人がその実態について語った!
2018年にデビューしてから、右肩上がりに登録台数が伸び続けているスズキ「ジムニー」シリーズ。
現行型の人気の要因は、ジムニー史上において最も高い完成度と、機能を全面に押し出したデザインと言われています。
その中で「ジムニー女子」と呼ばれる文化も誕生しました。どのようなきっかけでジムニー女子は出来たのでしょうか。
まず、現在のジムニー市場の特徴は、先代までとはユーザー層がガラリと変わったということ。
先代まではどちらかというと、オフロード派を中心としたコアなユーザーが支えていました。
しかし現行型は、これまでクロカン4WDに興味が無かった人や、久しぶりにクロカン4WDに乗るという人が購入に踏み切ったことで、大ヒットに繋がったようです。
なかでも女性の支持率が高く、2023年始めにスズキが販売関係者に語ったところによると、ユーザーの男女比率で女性が上回っているということです。
数年前からSNS上では「ジムニー女子」という言葉が飛び交うようになりましたが、こういった現象も含めて、メーカーであるスズキさえ予測できなかったようです。
しかし、なぜそこまでジムニーは女性に愛されるのでしょうか。ジムニーユーザー主催の大規模イベント「ジムニーサンライト」の運営責任者で、インフルエンサーである「かほ』さんに、話を聞いてみました。
「自分も楽しめるジムニーのイベントを、ということで始めました。
そもそも、クルマのイベントって女性にとってはあまり興味が湧かないんです。
ここをこうチューニングして、ここにこんなパーツ付けてすごい…なんて、正直どうでもいいかなって。
前は彼氏とそういうイベントにも行ってましたが、あまり面白くなくて。それで、自分で楽しめるジムニーのイベントを…ということでジムニーサンライトを企画しました」
2024年で3回目の開催となった同イベントですが、その特徴は“ジムニーユーザーによるジムニーユーザーのためのイベント”という点。
会場の販売ブースには、パーツメーカーやプロショップと呼ばれる企業が1社しかなく、あとは“クリエイター”と呼ばれるユーザーが出展しています。そして、そのクリエイターにも女性がかなりいます。
「参加者も、2023年は女性が3割くらいでしたが、2024年のデータ上は4割くらいになりました。
でも、チケットを男性が買って同行しているケースもあるので、もしかすると半分くらいになっているかもしれませんね」
ブースではクリエイターのジムニー女子たちがハンドメイドのジムニーアイテムを販売しているのですが、そのアイテムのほとんどがインテリア用。
これには、女子特有のある傾向が影響しているのだと、かほさんはいいます。
「ジムニーって車内空間が直線的にできているせいか、部屋のような感覚があるですよね。
私は前に不動産関係の仕事だったんですが、女性って出窓が大好き。ジムニーのダッシュボードなんてまさに出窓で、つい小物とかで飾りたくなっちゃうんですよね」
さらに消費行動についても、ジムニー女子には違いがあるようです。
「ジムニー女子の場合、外装パーツをたくさん付けるという人があまりいないと思います。
男性なら、例えば3万円のグリルをバーンって買っちゃいます。クルマをイジって変えることが喜びだから。
でもジムニー女子はチューニングとかドレスアップとか興味がない人が多いし、そもそも一気に高いパーツを買うくらいなら、数千円の小物をいくつも買って幸せも数倍にって考えるんです」
たしかに筆者もこれまでジムニー女子を何人も取材してきましたが、現行型の場合はインテリアにオシャレな小物を付けたり、車内をいろいろなモノで飾るケースがほとんどでした。
「ジムニー女子の中には、ノーマルのジムニーが最高! という人がかなりいますよ。
とにかく、“クルマが好き”なんではなく、“このカタチのジムニーが好き!”なんですよね。これは他のクルマではあまりない傾向なんじゃないかと」
ジムニーに惚れた女性ユーザーの多くは、ジムニーを“かわいい”と表現します。
その言葉をストレートに受け取り、「丸目でちょっとキュートな感じがいいのかな?」 などとファジーな感じで受け取ってきました。
でも、かほさんによればそれはかなり違っているようです。
「例えば、男性アイドルとかを女子は“かわいい”と言いますよね。
それと同じ。ジムニーは、女性ユーザーを意識した丸っこいモデルみたいにかわいいわけではなく、“ちょっと男っぽい”感じがかわいいんですよ。
それに今のジムニーはシフォンアイボリーとかロービジカラー(低視認性カラー)が出て、あれがすごく女子にささっウケてます」
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筆者のようなクロカン四駆業界35年のオヤジには、まだその感覚を完全に理解できたわけではありませんが、アイドルの話でなんとなく分かった気がします。
「まさかこのような評価を受けるとは思わなかった…」と開発者さえも唸るジムニー女子の台頭。
2024年9月には「ジムニーサンライト・キャンプ」の開催も予定しており、そこにも多くのジムニー女子が参加する予定なんだとか。
「はじめてキャンプをするという女性が多い」ということですが、もしかするとジムニーは、女性に新しいライフスタイルに挑戦させるパワーを持っているのかもしれません。
だからこそ、イマドキのアクティブなジムニー女子を魅了するのでしょう。
Writer: 山崎友貴
自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。
「ゆるキャン△」流行りも手伝い、アウトドア女子が増えているのだろう。
それに伴い、オフローダー女子も増えて居ると思う。
エントリーモデルとしてもジムニーは最適なのではないか?
実際コテコテの重量級の四駆と比し、ジムニーは軽量で走破性も高い。
そこいら辺の事情も有るのではないかな?!