スバル「アルシオーネSVX」 360度ガラス張りの理由と、いまへつながる遺産とは?(画像13枚)
スバル「アルシオーネSVX」は、特異なデザインが目を引くクルマでした。販売は振るいませんでしたが、そのあとには、見た者の記憶だけではなくいまのスバルへとつながるものも残していきました。
特徴的すぎるデザインは、鬼才ジウジアーロ
「レヴォーグ」や「XV」、「フォレスター」に代表されるように、ツーリングワゴンやSUVのイメージが強いスバルですが、かつては、「BRZ」より上級なスペシャルティクーペをラインアップしていました。それが1985(昭和60)年に誕生した「アルシオーネ」です。
当時、主力車種だった「レオーネ」をベースに、北米をターゲットに開発。同市場向けに「スバルXT」と名付けられたスペシャルティーカーは、北米で“セクレタリーカー”と呼ばれる「女性が愛用するクーペ」のニーズにぴたりとハマり、女性の人気を得ることに成功しました。
しかしながら、1985年9月に発表されたプラザ合意の影響による円高の余波を受け、販売はやがて低迷。自然吸気の2.7L水平対向6気筒エンジンを搭載した上級仕様の投入で起死回生を図るも、「レオーネ」ベースのコンパクトなボディサイズでは、北米市場では荷が重すぎたのでした。
そこで北米向けの本格スペシャルティーカーを目指し、開発されたのが、1991(平成3)年に発売された「アルシオーネSVX」でした。
内外装のデザインはイタリアの鬼才ジウジアーロによるもの。当初は「アルシオーネ」同様に5ナンバーの予定でしたが、北米での調査の結果を受けワイドボディ化され、3ナンバーとして送り出されることになりました。