なぜ背の高い「SUV」増えた? 新車“6割”を占める現実… 「セダン」「ワゴン」より何が優れている? シェア拡大の理由とは

人気のSUV 意外にも「デメリット」も

 もちろん、SUVにはメリットだけでなくデメリットもあります。たとえば駐車場を選ぶことがあります。

 全高1550mmを超える一般的なSUVでは、ミニバンやSUV対応ではない機械式立体駐車場へ入庫できないことが、ウィークポイントとして挙げられます。

 たとえ自宅が機械式立体駐車場ではないとしても、出かけた先などで機械式を使うことがあるユーザーは、駐車場の選択肢が狭まるのは使い勝手の低下につながります。

 また、一般論として、車両重量がかさむうえ背の高さから空気抵抗も悪化するSUVは燃費も悪い傾向にあると言えます。

 技術の向上によって年々改善されていますが、走行距離が伸びるユーザーはそこも心配する必要があるでしょう。

走りの良さも格段に向上した。なかには廉価なモデルも登場 (写真はホンダ 新型「WR-V」)
走りの良さも格段に向上した。なかには廉価なモデルも登場 (写真はホンダ 新型「WR-V」)

 一方、走行性能でいえば、走りを求める人のなかには「背の高いSUVは走りの安定感がもの足りない」という意見もあるかもしれません。

 それはたしかに否定できない部分でもあります。しかし、車両開発技術の向上によってほぼ解消されており、多くの人は気にする必要のない領域の話とも言えます。

 もちろん差が完全になくなったわけではないので、敏感なドライバーなら感じるかもしれませんが、そういったドライバー以外は気にする必要はないでしょう。

 さらに、コストパフォーマンスの話をすると、一般的にSUVは車両価格が高くなりがちなのです。

 たとえば同じボディでハッチバックとSUVを作り分けているスバル「インプレッサ」と「クロストレック」が分かりやすい例でしょう。

 同じボディではなくても、トヨタのセダン「カローラ」とSUVタイプの「カローラクロス」を比べても、やはり後者のほうが価格帯が高いことが確認できます。

※ ※ ※

 SUVがこれだけ増えている現状を「一時的なブーム」と考える人も多くいることでしょう。

 しかし、乗り降りが楽なことや運転しやすいことなどSUVのメリットを考えると、いちどSUVの良さを知った人が“SUV以外のボディタイプ”へ移るケースは少ないかもしれません。

 つまり、このままSUVが乗用車の定番になる可能性は、十分に考えられるのです。

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Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

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