1度は乗り比べたい! トヨタ「ランクル」勢揃い!? 300・250・70のオフロード試乗! 三者三様の違いとは

300・250・70をオフロードコースで比較試乗! 違いは?

「原点回帰」の意味と本質を理解するために、今回は「ランクルの聖地」と呼ばれる愛知県豊田市にある「さなげアドベンチャーフィールド」のオフロードコースで、キングofオフローダーの「300」と2023年に復活した「70」と共に走らせてきました。

 まずは林間コースからの走行です。今回はトランスファーモードは駆動力の高い「4Lo」、センターデフは「ロック」、SDM(Stabilizer with Disconnection Mechanism)は「OFF」、そして路面状況に応じて走行支援を行なうMTS(マルチ・テレイン・セレクト)は「AUTO」で走らせます。

 走り始めて即座に感じたのは「想像以上に力強い」でした。エンジンは150系プラドでも採用されていた2.8リッターディーゼルターボ(1GD-FTV)でスペックも不変(204ps/500Nm)ですが、アクセルを踏んだ時のツキのよさやアイドリング+αから湧き出る段付きないトルクの立ち上がり、滑かな加速フィールなど、まるで別のエンジンかと思ったくらい。

 これは小型タービンの採用や最新の制御系、更に8速ATとの組み合わせなどが効いているのでしょう。

林間コースでの250は「クルマはより小さく、より軽く感じる」
林間コースでの250は「クルマはより小さく、より軽く感じる」

 今回走行した林間コースはアップダウンが激しい上に道幅もかなり狭いのですが、そんな中で走らせて感じたのは、「クルマはより小さく、より軽く感じる」でした。

 これは水平基調のインパネやボンネット形状の工夫による見切りの良い前方視界に加えて、ベルトラインが低いサイドウィンドウによる開放感。

 更に出っ張りが抑えられたドアミラー(ミラーtoミラーは150系プラドより短い)などに加えて、マルチテレインモニターのサポートも大きいですが、個人的にはオフロードでの「クルマの動き」に加えてランクル初採用の電動パワーステアリングの効果が大きいと感じました。

 ちなみにシャシはGA-Fと形式的には兄貴分のランクル300と同じですが、フロントはオーバーハングを短くするためにスタビライザーの位置を後方に移動、それに伴いサスペンションジオメトリーを変更。

 リアもサスストロークと居住性、アフォーダブルな価格での提供を元に設計し直されるなど、中身は250専用となっています。

 そのため乗り味も300とは別物です。オフロードではオンロードよりも姿勢変化(前後左右)が大きめですが、その時の動きは300が「穏やか」かつ「時間をかけて吸収」なのに対して、250は「俊敏」かつ「吸収スピードを優先」と言った印象でした。

 ちなみに250の車両重量は300に対して約150kg軽量ですが体感的にはそれ以上の差、例えるならラグジュアリーセダンとスポーティセダンくらいの違いに感じました。

 つまり、オフロード走行での「一体感」や「手の内感」、そして「対話性」と言う部分では250のほうが上であり、その結果クルマが「より小さく」、「より軽く」感じたわけです。

岩を駆け登るランドクルーザー250
岩を駆け登るランドクルーザー250

 続いて、モーグルや岩山、更に急勾配を走るコースを走ります。ここではE-KDSSを持つ300(GR-S)のサスストローク(フロント245mm、リア260mm)を活かした接地性の高さに驚きますが、僅かにサスストロークが僅かに短い250(フロント220mm、リア230mm)も全く負けておらず。

 正直言うと、今回走らせたコースではほぼ同等の性能と言っていいでしょう。どちらもMTSのフル活用で、「楽に」、「快適に」「安心して」走破することが可能でした。

 ただ細かく見ていくと、300は路面の入力を“優しく”包み込む、途中で停止してしまった後のリカバリーなどは絶対的な接地性に優れるのに対して、250は路面の入力を包み込みながらも“ダイレクト感”は残す、視界の良さからコースセレクトがしやすく途中で止ることなく走破しやすいなど、キャラクターの違いは明確に出ています。

 ちなみに70は250と同じ2.8リッターディーゼルターボ+6速ATの組み合わせで少しだけ近代化されていますが、基本設計は1980年代でオフロード性能は“素”で勝負のモデルです。

 今回のコースも軽々走破できましたが、250や300と明らかに違うのは「路面を感じながら走る」と言う面白さ、つまり「ダイレクト感」や「対話性」は、今でもランクルシリーズの中でピカイチだと言う事です。

 ただ、従来モデルよりはしなやかさを備えたとは言うものの、250/300には劣るサスストローク、路面からの入力をパーンと跳ね返してしまう印象などから、コース取りも慎重になる上にトラクションを上手に掛けるためには繊細なアクセル操作も求められます。

 このピュアな所こそが70の魅力ですが、逆を言えば「乗り手も選ぶ」と言うわけです。

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3件のコメント

  1. なるほど。300が100点なら250は95点ですかあ。300は全グレードリヤデフロック付けれるし、GRにはフロントデフロックまで付いてる。250はZXだけリヤデフロック。VXやGXは付けれない。
    雪国は最近JPCZ、本州の線状降水帯をそのまま雪にした線状降雪帯が発生し、凄まじい豪雪、吹きだまりになりますので、デフロックはたまに活躍します。

    • 貴方の車にLSDは付いていなのでしょうか?岩場、或いは泥濘地を走行するときはデフロックはありがたい装置です。が、デフロックは普通の道で使用すると横転する危険性が大です。雪道でどの程度のスタックか知りませんが、それよりLSDのほうが雪道のスタックには有効だと思います。仮にLSDが付いてない場合、ブレ-キを少し踏みアクセルをふかして脱出してみてください。ブレ-キ踏む理由は空転してるタイヤに虚の接地荷重かけるためです
      元60愛用者

  2. 「日本ではランクルの性能は」と言う人もいるでしょう?良いじゃないですか言わせておけば。。。私も60、100と乗り継いできましたが、直列6気筒のディゼルタ-ボから発する135馬力。そして250馬力?V8ガソリンエンジンと全長5m、確かにオーバースペックは感じました。だけどランクルはとても面白い車で、走る車じゃないですよ。乗り手がやさしさを持てば。。それでいいじゃないでしょうか

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