埃まみれの日産「マーチR」 なぜ660万円の値が付いた? 綺麗にしたら価値が下がる理由とは

埃がその価値を高めていく? 謎の「バーンファインド」とは

 また驚くべきことに、エアコン装着が物語るように、元オーナーは、ラリーパーツ装着車でありながら、公道のみを走行していたそうで、走行距離もなんと1万キロ台に過ぎません。

 ある時期を境に車検の継続をやめ、乗らなくなったものの手放さずに、自宅の納屋に保管させていたそうです。

 つまり、積もった埃こそが、このクルマが長年、当時のまま、眠りについていた証ということなのです。

 近年、このような長年、納屋や倉庫に眠っていてものを発掘したクラシックカーを「バーンファインド」と呼ぶようになりました。

 その多くが、改造などが施されず、オリジナルに近い存在であることが評価されているようです。

 つまり、新たなユーザーがしっかりと手を加えれば、新車当時に近いクルマを手にすることができるというわけです。

ブースには当時の資料なども展示された
ブースには当時の資料なども展示された

 ただバーンファインドの考えも変化し、近年は、その当時のままの眠りついた姿にこそ、価値があるという人たちも増えているそう。

 そのため、埃を落とすと価値が下がるというなんとも不思議な現象が起きています。

 極端な言い方をすれば、このマーチRの660万円には、この埃も含まれているというわけです。

 このため、バーンファインドカーの扱いは、保管以外の選択は、その価値を維持するには、非常に難しい選択が求められるようです。

 個人的には、当時の雰囲気を残すために、内外装の修理は最小限に留め、走行関係をしっかりと整備して公道復帰を果たしたマーチRの姿を見てみたいものですが、その未来は、次のユーザーに託されます。

 既に店舗には、海外からの問い合わせもあるといい、このマーチRの未来を予想することは難しそうです。

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Writer: 大音安弘(自動車ライター)

1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ。その後、フリーランスになり、現在は自動車雑誌やウェブを中心に活動中。主な活動媒体に『ナビカーズ』『オートカーデジタル』『オープナーズ』『日経トレンディネット』など。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

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4件のコメント

  1. GT-Rもビックリなトルクを出したら怖くて踏めないっすね。

  2. レース中の汚れとかならともかく、長年倉庫に放置されていた埃にそんなに価値があるのかね?

    • コレクターならではの価値観と言うかそんな感じかな。
      埃その物が使用頻度の少ない証だったり低走行車の証として見てるのかと。

      購入者がコレクションとして並べる時に洗車をするのか…気になるところw
      コレクションとしては綺麗にさせたいけど投機として見たらそう簡単に埃を払えない。

  3. せめてセミスリックぐらい履いているのかと思えば普通のタイヤ。あの頃、この車に乗っていた連中は街乗りでもセミスリックを履いていたよな。

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