高速道路のサービスエリア「和式トイレ」なぜ今でも存在する? 個室の1割は和式!? 全てが洋式にならないワケとは

最近の公共トイレは洋式が一般的ですが、高速道路のSA・PAにおいてはいまなお和式トイレを見かけます。訪日外国人も増えている時代に、いったいなぜ、和式が残っているのでしょうか。

「SA・PAのトイレ」なぜ和式が残ってる?

 かつては使いづらいイメージだった公共トイレも、いまでは施設の改修などとともに洋式トイレを取り入れ、きれいで快適な場所に変わりつつあります。
 
 和式トイレ自体が珍しくなりつつあり、とくに新しくつくられた公共施設では、見かけることさえほとんどありません。

高速道路SAのトイレになぜ和式が残ってる?
高速道路SAのトイレになぜ和式が残ってる?

 また、国の観光振興策として、2017年度より公共トイレの洋式化に補助金が出ており、こうしたことも和式トイレが減っている要因のようです。

 しかし、こうした流れのなか、高速道路のSA・PA(サービスエリア・パーキングエリア)のトイレをみると、いまでも「和式トイレ」が設置されています。

 新しいSA・PAのトイレでさえ約1割は和式となり、さらに、トイレをリニューアルする場合も、同じく約1割を和式にしているのです。

 和式トイレでは用を足すときにしゃがまなくてはならず、パンツやスカートが濡れるなど使いづらさから敬遠する人が多くいます。

 また、高齢者や車いすの人などにとっても最適とはいえず、さらに、現在では急激に外国人観光客も増えており、使い方がわからないという人もいるでしょう。

 では、なぜ高速道路に和式トイレを残しているのでしょうか。

 じつは、SA・PAのトイレは、利用者の声に応じて設計しているといいます。

 トイレ事情について、NEXCO中日本の担当者は次のように話します。

「洋式、和式の利用率の調査およびお客さまの声から、洋式トイレ9割、和式トイレ1割としています。洋式トイレを増やしてほしい要望もあれば、和式トイレを増やしてほしい要望もそれぞれあります」

 SA・PAはたくさんの人が利用する場所であり、その全ての人が洋式にしてほしいというわけではないようです。どうしても和式トイレを望む人がいる限り、その声には応えていくといいます。

 もともと、国営時代のSA・PAのトイレは、薄暗くて不快なところと悪評でした。そこで、民営化をきっかけに休憩所にふさわしい快適な場所にするべく、NEXCO中日本では「日本平PA」を皮切りにトイレのリニューアルに着手しました。

 そして、洋式トイレ9割、和式トイレ1割という比率は、このときから変わっていません。

 和式トイレを選ぶ理由として、不特定多数の人が使った便座に触れたくないという声があるようです。たとえば、消化器の疾病により粘膜に異変があり、ほかの人のあとに腰掛けることに抵抗をもつ人もいるといいます。

 高速道路と同様に、公立小中学校でも和式トイレを残しています。それは、便器に肌をつけたくないという児童や生徒のためのようです。

 このように、高速道路のトイレはきれいなだけでなく、誰にとっても親切な場所でもあるといえそうです。

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