シートベルト「しなくていい場合」がある!? バック時は「違反」にならない? 病気のときは? 「着用免除」でもベルトを締めるべき理由とは

クルマに乗る時は、シートベルトの着用が義務付けられています。しかし、例外もあると言います。どのような状況が例外なのでしょうか。

例外で「着用免除」もあるが… 命に関わるリスクも

 現在、シートベルトは運転席はもちろんのこと、助手席や後部座席まで含めた全席での着用が義務付けられています。
 
 一方で、シートベルトの装着が免除される場合もあるといいますが、どういったケースが該当するのでしょうか。

例外があっても極力着用が望ましい[画像はイメージです]
例外があっても極力着用が望ましい[画像はイメージです]

 クルマに乗る時にはシートベルトの着用義務があります。

 運転席と助手席でシートベルトをしていなかった場合は、ドライバーに対して違反点数1点が付されます。後部座席の場合、一般道走行時は罰則がありませんが、高速道路走行時には、前席と同様に違反点数1点が付されます。

 しかし、一定の事情がある場合には着用が免除されることがあり、これについて道路交通法施行令第26条の3の2 第1項では次のように規定されています。

「負傷若しくは障害のため又は妊娠中であることにより座席ベルトを装着することが療養上又は健康保持上適当でない者が自動車を運転するとき。」

 例えば、妊娠中の人がシートベルトを着用することで腹痛を感じたり体調が悪くなったりする時や、すでに陣痛が始まってシートベルトをつけるのが難しい場合などはシートベルトを着用せずにクルマに乗ることが可能です。

 他にも、座高が著しく高いか低いとき、著しく肥満している人など、身体の状態によってシートベルトを適切に着用できない時にも着用が免除されます。

 さらに健康状態に問題がなく、普段はシートベルトの着用免除に該当しない人でも、クルマをバックさせる時はシートベルトを外して後方確認しながら運転することができます。

 それ以外にも、消防や警察、護衛などの業務で乗車する時、選挙カーに乗る候補者などのほか、頻繁に乗り降りの発生する郵便物の集配を行う人なども、シートベルトの着用が免除されます。

 このように、事情のある人に対してシートベルトの着用が免除されることがありますが、同時にシートベルトを着用しないことの危険性を認識しておく必要があります。

 警察庁とJAF(日本自動車連盟)が共同で行った調査によると、2023年の調査におけるシートベルト着用率は、運転席では一般道、高速道路ともに99%を超えており、助手席についても一般道で97.1%、高速道路で98.6%となっています。

 一方で、後部座席については高速道路で78.7%、一般道では43.7%と半数以上の人がシートベルトを着用していないという結果が明らかになりました。

 警察庁とJAFによると、時速60kmで走行中にクルマが壁などに衝突した時の衝撃は、高さ14mのビルから落ちるのと同程度だといいます。

 この衝撃によって、運転席や助手席ではフロントガラスを突き破って車外に放り出されたり、エアバッグが開く衝撃で逆に大きなケガをしてしまったりする恐れがあります。

 後部座席ではシートなどに打ち付けられ、全身を強打してしまう可能性があるほか、前席の乗員の頭部にぶつかってしまったり、後席からでもフロントガラスを突き破って車外に放り出されたりする危険があります。

 こうしたことから、シートベルトを着用していない時に事故に遭うと大きな被害が出てしまう可能性もあるため、やむを得ない場合を除いて体調不良時などでは運転や乗車を控える判断も大切です。妊娠中の人では、ベルトの位置を工夫し、お腹を圧迫しないように着用する方法もあります。

 もし体調や障害などが理由でシートベルトを着用できない場合は、事故のリスクと被害を最小限に抑えるために、通常よりもスピードを落として注意深く運転する必要があります。

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