右折待ちゼロは「逆転の発想」から!? 衝突事故防ぐ画期的なアイデア「反転交差点」実用化へ本研究開始 “矢印信号”もいらない!一体どんな構造なのか

国土交通省の新技術研究として、「反転交差点」という先進的な交差点構造の本研究が始まりました。安全でスムーズな走行を実現する新発想の交差点、一体どんなものなのでしょうか。

アメリカの先進事例に着目

 国土交通省が採択して研究される「道路に関する新技術」で、交差点の課題解決に期待される新たな技術が、研究スタートとなります。
 
「反転交差点」と呼ばれるこの新技術、いったいどんな技術なのでしょうか。実現すればどう便利になるのでしょうか。

右折待ちを無くす「逆転の発想」の交差点とは? (イメージ図)(画像:写真AC)。
右折待ちを無くす「逆転の発想」の交差点とは? (イメージ図)(画像:写真AC)。

 交差点の信号待ち渋滞を解決する策としては「ラウンドアバウト」というものがあります。交差点を環状にすることで、南北側も東西側も交差点内で同じ方向へ進み、信号が無くても接触なく交差点を通過できるというものです。

 しかしラウンドアバウトが機能するのは、あくまで通過交通が比較的少ない場合のみ。大都市部ではなかなか効果的に導入できません。

 そこで他の事例として、可能性が提言されているのが「反転交差点」です。横浜国立大学の田中 伸治教授は、今回の採択研究で、日本へ導入するための設計指針の取りまとめなどを行いたいとしています。

 気になる「反転交差点」の中身ですが、これは主に高速道路を立体交差で横断する道路などの場合に、「ランプへ入るための右折待ち」で時間損失が発生したり、直進車や合流相手と衝突事故を起こすリスクを低減する期待があります。

 構造としては、交差点内部で「車線を左右入れ替える」というもの。交差点進入時に車線が右側へスイッチし、交差点を出るときにまた左側へ戻る形です。

 信号は「交差側上下線→交差側右折矢印→ランプから一般道への流入」という3パターン切り替えではなく、「交差側上り→交差側下り」の2パターン切り替えに減ります(ランプ部の信号はうまく同期)。

 車線を反転させることで、右折矢印信号を使わなくても、各方向からの右折・流入がすべて交差無しで実現することになるというわけです。合流する時に接近車を気にする必要がなく、右折中に正面からクルマが突っ込んでくることもありません。まさに「逆転の発想」と言えます。

 アメリカではジョージア州やユタ州、ミネソタ州などのIC交差点で採用事例があります。現地ではDiverging Diamond Interchange(DDI)と呼ばれています。

 なお、似た構造としてContinuous Flow Intersection(CFI)があるといいます。これは「右折レーンだけあらかじめ対向車線の反対側へスイッチさせておく」というもの。スイッチ部で信号が必要ですが、本来「前から直進車がやってくる中、タイミングを見計らって右折する」という危険な状況であるのを、「右折車と直進車を信号制御で交互通行にする」というのがポイントです。

 田中教授は日本でこれらを導入したらどうなるかと、仙台の国道4号の巨大交差点「六丁の目交差点」をモデルとして、仮想的に反転交差点を作成。シミュレーター上で被験者に運転してもらいました。2018年の論文では、反転交差点での運転実験の結果、17人のうち1人がうっかり違う車線に誤進入したものの、2回目の運転では全員正しく走行できたそうです。

 実験後のアンケートでは、2回目になると全員が「迷いを感じなかった」「少し迷いを感じた」程度におさまり、利用のしやすさについては、17人中8人が「とても/少し利用しやすくなった」、6人が「変わらない」、3人が「少し利用しにくくなった」と回答しており、多くはすんなりと慣れている様子となっています。

 そして、いよいよ具体的な検討に向けて、2022年から国のFS研究(事業化可能性の調査)をおこない、満を持して2024年度から本研究となった形です。

 田中教授は「このような新しい交差点形式を日本にも導入するために必要な、構造面・施設面での配慮や、利用者の受容性にも着目した評価を行い、設計指針のような実務につながる成果をとりまとめたい」としており、「関係者間の合意など条件が整えば、実証実験も行えるとより望ましいと思います」と話しました。

【画像】まさに逆転の発想…!? これが右折待ち不要の「反転交差点」です(画像)(29枚)

【2024年最新】自動車保険満足度ランキングを見る

画像ギャラリー

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

8件のコメント

  1. なるほど・・・でっ、この交差点を設置するにはそれなりのスペ-スが必要かなぁと思うけどね。
    私なら右折のみ高架にして対向車線に左折としますけどね。いずれにしてもスペ-スとコストがかかります。現状の交差点で青→黄→赤から 変更☛ 青→赤→黄にして右折車両は黄信号のみ進行できるようにした方がいいような気がします

    • 黄色は停まれですが…。
      さらにいえばその順序にすると、強引な直進の特攻がいまより増える気が…。

  2. かなりスペースがないと無理っぽいので日本には向かない気がするという問題と、さらに

    >17人のうち1人がうっかり違う車線に誤進入

    ってミスおおくない?
    普通の交差点なら、100人のうち1人もうっかり違う車線に誤進入もないと思うんだけど……。17人のうち1人もミスるようなら事故起きまくりじゃないのか?

  3. ふつうの交差点の話しなんですが…
    昔々カリフォルニアで暮していた頃
    左折(日本なら右折)車を先に通しておいて
    直進車はその後でした。
    この方式だと交差点内での滞留が無く
    全体的にスムーズに流れていた気がします。

  4. これって対向車は赤信号にするんですよね?
    だったら普通の交差点でも同じように対向車は赤信号で止めとけば、右直事故って無くなりますよね。

  5. 記事が適当すぎる。
    アイキャッチ画像は全然関係ない交差点だし、「右側通行の左折」の説明画像に対して「(左側通行の)右折」と解説しているし。記事としてまとめるなら、ちゃんと日本に置き換えた(または反転させた)左側通行の画像を用いるべき。
    なんとなく海外でニュースになったものを適当に翻訳してまとめただけの記事っぽくて、AI量産記事よりも質が低い。広告が閲覧されるなら何でもいいんだろう。

  6. 広告が多すぎて記事が読めない
    もうこのサイトにはアクセスしません。さようなら。

  7. こんなけ広くて立体交差にするなら、立体式のロータリーにしたほうがいい

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー