滋賀~福井 悲願の「第2ルート」誕生なるか!? 難路「国道365号」県境に長大トンネル「栃ノ木峠道路」が検討進行中 敦賀ショートカットでどうなる!?
滋賀県と福井県は、国道365号の県境区間にトンネルを整備し、通年通行可能にする検討を進めています。どこまで話が進み、完成したらどう便利になるのでしょうか。
長浜市から今庄方面へ直結
福井県は2024年2月19日、滋賀・福井県境を抜ける国道365号の「栃ノ木峠」の改良計画について、検討結果を発表しました。
国道365号は、関ヶ原方面から長浜や木之本を抜け、滋賀県最北端の長い長い谷間を経て、栃ノ木峠で福井県に入っていきます。
手前にある「椿坂峠」も急勾配・狭隘・急カーブの厳しい峠越えでしたが、2014年に峠をトンネルでまるまるショートカットする「椿坂バイパス」(延長3250m)が開通。厳しい冬季も通行がスムーズになりました。
しかし、その先の県境越えである栃ノ木峠は依然として勾配やカーブが厳しく、椿坂峠と同様に通行困難で、さらに冬季通行止めとなってしまうことから、ネットワークとしての大きな課題となっています。
滋賀~福井のネットワークは冬季を中心に脆弱で、主要な下道ルートである国道8号・国道161号の疋田を経て敦賀へ抜けるルートも、大雨で通行止めが相次いでいます。「栃ノ木峠ルート」が整備されれば、どちらかが寸断されても、両県間の緊急輸送路を確保することが可能になります。
そうしたことから期待がかかる「栃ノ木峠道路」ですが、阻んでいるのは滋賀県側と福井県側との強烈な高低差で、かつてはループ橋で一気に標高を下げることも検討されましたが、実現せず今に至ります。
しかし、近年はふたたび整備の機運が高まっており、2023年3月に「国道365号栃ノ木峠道路技術検討委員会」が開催。今回はその2回目で、今の土木技術で実現できるかどうか、技術的課題を整理するものとなりました。
今検討されている栃ノ木峠道路は、滋賀最北端の「中河内(なかのかわち)」集落の手前から分岐し、西側をまっすぐ北上して、福井県側の連続ヘアピン区間のはじまりまで長大トンネルで一気にワープする、延長2.8kmの計画です。
検討の焦点は「この山地の地質条件で、長大トンネルを掘ることができるか」ということ。2023年度にさっそく地質調査が行われました。その結果、近くに南北方向の「柳ヶ瀬断層」「鉢伏山断層」があるものの、計画ルートはこれに当たることは無いとされました。
とはいえ、全体的に脆弱で複雑な地質構造であることから、掘っている間に破砕帯に到達し、掘削面がもろくなる可能性は高いとして、「難工事が想定」されると結論付けています。
一方で、すぐ近くでは北陸新幹線が「新北陸トンネル」を貫通させたばかり。同じく断層破砕帯に当たり異常出水や掘削面の崩壊などに苦しめられてきましたが、高度な技術力で克服してきた実績があります。
今回「技術的課題」が把握できたことで、いよいよ概略ルートの決定に向けた手続きが視野に入ってきます。一般的には「計画段階評価」で概略ルートが決まり、それをもとに「都市計画決定」「環境アセスメント」を完了させたうえで、いよいよGOサインである事業化に至ることとなります。
かつて嶺南地方が滋賀県の一部だったこともあるそうです。
そう考えると直通路が少ないのは不思議な気がします。