結局…「EVインフラ」どうなの? 「クルマが先、インフラが先」の問題! 不便さは解消されるのか

電気自動車(EV)に乗る上での課題として「充電インフラ」があげられます。この先どうなっていくのでしょうか。

EVに乗る上での課題「充電インフラ」どうなる?

「充電インフラって、これからどうなるの?」
 
 すでにEVのユーザーになっている人も、EV購入をこれからか考えようかと思っている人にとっても、大いに気になるところです。
 
 そんな充電インフラの最新情報について、EV業界各方面への取材を通じて探ってみました。

EVの充電インフラどうなる?
EVの充電インフラどうなる?

 まずは、充電の出力について触れます。

 どうも、日本では出力150kW程度で、当分の間は頭打ちになる可能性がありそうなのです。

 EVやプラグインハイブリッド車(PHEV) 向けの充電方法は、大きく3つあります。

 ひとつが、出力6kWていどの普通充電。

 自宅や会社、またホテルやショッピングモールでよく見かける比較的小型の充電器です。

ふたつめが、出力3kW前後で一般的な電気のコンセントを使ったもの。

 そしてみっつめが、出力50kW前後かそれ以上の急速充電器。

 日本の場合、CHAdeMO (チャデモ)規格を採用しています。

 そのほか、テスラが採用し、近年はノース・アメリカン・チャージング・スタンダード(NACS)と呼ばれるようになった急速充電できるシステムがあります。
 
 こうした充電器の出力が高ければ高いほど、充電時間は短くなります。

 単純な計算をすると、搭載するバッテリー容量が50kWhのEVに、出力50kWで急速充電すれば、「50kWh ÷ 50kW = 1h(1時間)」。

 ただし、現在自動車向けに使用されているバッテリーは様々なタイプのリチウムイオン電池で、安全性や耐久性などを考慮して満充電の約8割で充電器の出力を絞る制御が働きます。

 そのため、単純計算した充電時間よりは若干時間が長くかかります。

 また、現在のルールでは、急速充電の1回の使用は30分単位。

 もし、自分が充電中に充電待ちの人が入れば、続けて充電できずに充電器を譲らなければなりません。

 また急速充電は、高速道路のSA・PA、道の駅、自動車ディーラーなどに設置されている場合が多く、移動中の「経路充電」という考え方です。

 ユーザーとしては、できれば充電器の出力を上げてもらって、充電の一枠である30分間で可能な限り多く充電したいと思うものです。

 そこで、直近では大手充電インフラ事業者のeモビリティパワーが中心となり、これまで主流だった出力50kWから最大で90kW、または最大で150kWを可能とした新型急速充電器の設置が進んでいる状況です。

 また、ドイツのフォルクスワーゲングループとしての試みとして、日本国内のアウディとポルシェの正規ディーラーで出力150kW急速充電器を整備するようになりました。

 では今後も、急速充電器の出力がさらに上がっていくのでしょうか。

 結論から言えば、NOです。

 現在発売されているほとんどのEVと充電器が、電圧400V対応で設計されているからです。

「電圧(V)x電流(A)=出力(W)」ですので、400Vで150kWを出そうとすると、
「150kW (150000W) ÷ 400V = 375A」となります。

 現在流通している急速充電器は、ベースの電流を250Aていどとしており、その上で短時間ならば電流をより多く流すことが可能な設計になっています。

 いわゆる、ブーストモードと呼ばれる仕組みです。

 電流が上がると、ケーブルなどの熱対策として冷却装置をつける必要があるなど、コストが上がる要因となります。

 ならば、一部のドイツメーカーのように、電圧を800Vに上げれば、電流を抑えて高出力の急速充電が可能となります。

 そもそも、ポルシェは出力350kW・電圧800Vの急速充電を想定して「タイカン」と、兄弟車であるアウディ「e-Tron GT」を企画しました。

 同プロジェクトが立ち上がった当時、筆者はドイツでプロジェクトリーダーから直接、その経緯を聞いています。

 また、日本メーカーでは日産がメディア向けの電動車関連技術説明会の際、将来的には電圧800Vへの対応を検討するとの考えを示しています。

 しかし、電圧800V化となると、急速充電器の設置要件などで各種法令・法律の見直しや改正が必要という手続き上のハードルがあります。

 さらに、急速充電器のコスト自体も、電圧400V対応と比較するとかなり高いのが実状です。

 そのため当面の間、急速充電器は電圧400Vを維持する可能性が高いものとみられ、そうなると結果的に出力150kWが実質的な限界値となります。

 しかも、前述のように出力150kWは一時的に可能であるだけで、実質的な出力は90kW程度がベーシックな性能になるでしょう。

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3件のコメント

  1. ベンツが方針撤回し、ガソリンエンジン開発に

  2. 中国みたいにバッテリー交換式のスタンドにしないと内燃機関の車両と同等の使い勝手が得られない。
    車両そのものがワンタッチで交換可能なバッテリーではない場合、乗り続ける場合にバッテリーの耐用年(回)数で交換費用が掛かる。であれば最初からメーカーがバッテリーを貸し出すような方法にすれば少なくとも待ち時間は数分。回収したバッテリーは時間をかけて充電。性能が落ちたバッテリーはスタンド側で回収・交換が可能。
    ユーザーとしてもランニングコストは少なくともガソリンや軽油よりも遥かにコスパが良くないとメリットを感じない。充電時間が長いほど物流でEVを使うメリットは薄れる。せいぜい集配センターで使う小型車に限る。

  3. 「鶏と卵」言ってる時点で、諦めてますやん
    日本が自動車大国になったのは、トヨタがどんな山奥にも販売店作って売りまくったからです。
    自動車関連販売店のすべてに充電器(できれば急速)の設置を義務つければ一挙解決

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