90万円以下&全長3.7m切り!? スズキ「最小級“3列”ミニバン」が一番売れてる!? まだ“新車で買える”「イーコ」が13年も印で愛される理由とは
インド市場で強いスズキが、2010年の発売以来100万台を販売したというミニバン「イーコ」とは、どんなクルマなのでしょうか。誕生の経緯も含めて探ります。
日本の「エブリイランディ」… インドで「イーコ」として健在
日本ではすでに販売が終わっているクルマでも、海外ではいまだに売られており、しかも人気を保つモデルはいくつかあります。
その代表例が、インド市場で約4割という圧倒的なシェアを誇るスズキの子会社「マルチ・スズキ・インディア(MARUTI SUZUKI INDIA)」が、1983年〜84年頃に現地生産・発売を開始した「マルチ800」と「オムニ」です。どちらも「インドの国民車」と言えるほどにインドで愛されたクルマでした。
前者は軽自動車の初代「アルト/フロンテ(5代目)」を、後者は軽1BOXバンの初代「エブリイ(7代目キャリイ)」をベースとしていました。
マルチ800は一度フルモデルチェンジをしましたが、オムニに至っては2019年までの35年間にわたり、ほぼ登場時の姿のまま販売されました。
そのオムニの跡を継いだのが、2001年に登場したミニバン「バーサ(Versa)」でした。
インドには日本のような軽自動車規格がないことから、4代目エブリイ(10代目キャリイ)のボディを延長し、「G13B」型1.3リッターエンジンを積んだ「エブリイ+(エブリイプラス・のちに「エブリイランディ」に改称)」がそのベースとされました。
2010年、ヴァーサはエンジンを1.2リッターの「G12B」型に載せ替えたうえで「イーコ(EECO)」に車名を変更。以来、現在でも販売が続いています。
なお日本では、2005年にエブリイランディの販売が終わっていますので、インドではそれよりも後に生産をスタートしたことになります。
低価格で高品質・必要十分な性能を持ち、2人乗りの商用・5/7人乗り乗用モデルなど13グレードを用意するイーコは、インド市場で好評を持って迎え入れられました。
2023年時点で、インドではこのクラスにライバルが不在なため、イーコのシェアは驚異の94%。発売以来100万台以上が販売されたといいます。
そして2022年秋、イーコはマイナーチェンジを行なっています。
外観に大きな変更はないものの、エンジンをデュアルジェット・デュアルVVTの「K12」型に置き換えて燃費を向上。そのほか、デジタルメーターの採用や内装各部の変更、ABSやデュアルエアバッグなど安全装備の充実が行われました。
それでも価格は51万200〜81万3200インドルピー(約87万円〜138万円)に抑えられており、依然としてリーズナブルです。
商用車さえも豪華になりつつある日本では、質素ともいえる内外装にマニュアルトランスミッションのみの設定はむしろ新鮮。全長も約3.7mしかなく、さらに3列シートの7人乗りも存在するとあって、日本でも売って欲しいという声が聞こえるほどです。
古いモデルが好まれた理由と、近年の動向
ところでインドに限らず、開発途上にある新興国における現地生産では、日本や各国の主要メーカーが本国では生産が終わっているクルマを長く作り続ける傾向にありました。
先進国のクルマは短めのサイクルでモデルチェンジを行い、その都度、新しい技術が投入されていきます。
しかし、新興国ではそれらを整備・修理する技術がなかなか追いつきませんでした。
そのため、メンテナンスがカンタンで、シンプルな機構を持つ古いモデルが継続生産されているのです。壊れても買い換えず直して乗り続けることもあり、修理が容易なクルマが市場で求められたのではないでしょうか。
ですが近年では、燃費や環境への対応が必要になり、本国と同等、もしくはそれに近い新しい技術を投入した最新モデルが現地生産されるようになりました。モデルチェンジの間隔も大幅に短くなっています。
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インドでオムニの生産が終わったのは、インドの新しい安全基準に適合しなくなったためでした。しかし、それへの適合を必要としないパキスタンでは、いまだにオムニと同じボディの「ボラン」「ラヴィ」を売り続けているのは興味深いところです。
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