車の「レース生地カバー」なぜ消えた? “もはや懐かしい”背面タイヤも電動アンテナも見なくなったワケ
スイッチ一つでスルスル伸びる「電動ロッドアンテナ」
●電動ロッドアンテナ
クルマには当初、FM放送受信用に、フロントフェンダーやフロントピラーに手動で伸縮させるタイプのアンテナを搭載していました。しかしこのタイプは、いちいち人が降りて伸縮する必要があり、特に雨の日や高速走行中には非常に不便でした。
そこで、ラジオの電源をオンにすると電動で伸縮するアンテナが登場しました。人がアンテナを操作しないため、主にクオーターパネル部分に搭載されたものです。

手動アンテナ車と比べると、スイッチがオンになってアンテナがスルスルと伸びる様子が、高級車のたたずまいを醸し出していました。
この電動ロッドアンテナは確かに便利でしたが、伸縮させるモーターやギヤ機構の重量が意外にかさんだり、アンテナの隙間から浸水するのか意外に寿命が短かったりしました。また、アンテナがクルマのスタイルを崩してしまうという見方もありました。
こうしたことから、ルーフパネルの前端に短いアンテナを立てたクルマや、リアガラスの熱線式ウィンドーデフォッガーの熱線を、そのままアンテナとして用いるクルマも登場しました。
ここ10年間では、サメの背びれに似たシャークフィン式のアンテナを、ルーフパネル後端に装着する方式が主流です。
結果として、電動ロッドアンテナは古くなってしまいました。「ラジオが聞けるなら、アンテナは目立たないに越したことはない」というのが、多くの人の意見だったのかもしれません。
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今回取り上げた3つの装備品は、いずれも一時は「おしゃれ」ないし「かっこいい!」とされたものばかりです。しかし、いずれも、時代が変わったり別の技術が出てきて、すっかり前世代のものとなっていきました。
レース地のシートカバーは、高級車の象徴から古臭いものに。背面スペアタイヤは、かっこいいから土臭いへと変わったのですから、時代の変化は残酷なものです。ファッションなども同じで、大流行した服ほど廃れるのも早かったりします。すなわちクルマも、道具でありながらファッションアイテムなのかもしれません。
クルマを使う私たちには、いろいろな楽しみであっても、装備品を作っている人たちは日夜苦労の種かもしれません。今これらの装備品を使用している人は、どうか大切にしていってください。






















































