車の「レース生地カバー」なぜ消えた? “もはや懐かしい”背面タイヤも電動アンテナも見なくなったワケ
背面スペアタイヤは、なぜ廃れたのか
●背面タイヤ
タイヤは、不幸にして走行中にパンクすることがあります。そのためクルマには、スペアタイヤの搭載が法律で義務付けられていました。現在は、パンク修理剤を積んでおけば、スペアタイヤを搭載しなくてもよいと改正されています。
このように以前はスペアタイヤをクルマに載せていたものですが、困るのはその場所です。乗用車はトランク内、トラックは脇に吊り下げる方式が一般的でしたが、一方でスペアタイヤをバックドアに背負うのがはやった時期があります。
その嚆矢となったのが、1982年に発売された三菱「パジェロ」です。
パジェロは大ヒットし、各社はパジェロのようなクルマを多数発売します。そのパジェロは、三菱がライセンス生産をしていた米国の「ジープ」を乗用車的な装備にしたモデルでした。
軍用車だったジープは、当然スペアタイヤを装備しています。そしてクルマの用途上、素早くタイヤ交換できるようにしなければなりません。
ジープは、スペアタイヤを車体後部に搭載していました。そしてパジェロもそのまま、スペアタイヤをバックドアに装着しました。
これがそのまま、SUV特有のスタイルとなっていきます。
当時のSUVは、当時流行していたスキー場へ向かう快速ツールとして人気を博していました。パジェロは(どちらかといえば)高速道路よりも雪道を走るほうが持ち前の4輪駆動で生き生きと走ります。その後ろ姿を見せられて、悔しい思いをした人も多数いたことでしょう。
スキーブームとともにSUVブームも起こり、街中にはスペアタイヤを背面に背負ったクルマが多数走ることになりました。
しかし、ファッションとなった背面スペアタイヤには、いろいろな問題が出てきました。
まず、雨が降ると汚れとタイヤの成分が雨筋となって流れ、バックドアなどに黒くこびり付きます。ワイルドさを狙ったSUVユーザーも、雨垂れ汚れは許せなかったようです。
また、スペアタイヤが太陽光で著しく劣化することも問題になります。スペアタイヤがいざという時に使えなかったり、車検時に劣化を指摘されて使わないまま交換を余儀なくされた人もいたことでしょう。
そこで1990年代半ばになると、スペアタイヤにプラスチック製カバーを装着するようになっていきます。カバー装着により、汚れと劣化の問題は解決します。
ところが2000年頃になると、「都会派SUV」なるジャンルがはやり始めます。
それらのSUVは、“土の香り”がするSUVとしての走破性を捨て、舗装路での使用を狙ったファッション的商品でした。シャシーは乗用車のものを用い、駆動方式も前輪駆動が設定されていました。悪路走破性より、ボリュームあふれるスタイルと、都会的かつ乗用車的イメージの方が重要でした。
そのため、背面スペアタイヤは“土の香り”を象徴している装備品であるとして、徐々に排除されてしまいました。
SUVブームが背面スペアタイヤを生み出し、SUVブームの変革が背面スペアタイヤを追いやったわけで、スペアタイヤの不憫さを感じます。
ちょ待って、「スペアタイヤが無いと登録できない」とあるが、当のスペアタイヤとやらは車両に含まれないという規定があるのをご存じないのだろうか?自家用車等の型式指定車は知らないが、大型トラック等の持ち込み登録の際は、わざわざ下ろして寸法測定やら車両重量測定やらやってる。降ろさずに落選した車両は知ってるが、無くて登録できなかったなどは聞いたことないが?!あと、バックドアにスペアタイヤ装着の走りはやはりジープだろ。また、伸びる伸びないに関わらず、アンテナはAMラジオも使ってる。車両のラジオはアンテナ内臓じゃないよ、どこにあると思ってるのかな?