トヨタが新たな「クラウン」来夏発売! 「エステート」じゃない「シグニア」登場のワケ 「ヴェンザ」後継で米に投入

米国トヨタは新型SUV「クラウンシグニア」を発表しましたが、これは「クロスオーバー」「スポーツ」「セダン」「エステート」と関係があるのでしょうか。

「ワゴン」や「エステート」ではなく「シグニア」にした理由は?

 2023年11月15日(現地時間11月14日)に米国トヨタは新型SUV「クラウンシグニア」を世界初公開しました。
 
 米国に導入されるクラウンシリーズの車種としては「クラウンクロスオーバー」に続く第2のモデルとなります。
 
 クロスオーバー、スポーツ、セダン、エステートと名前が異なりますが、どのようなモデルなのでしょうか。

トヨタ新型「クラウン シグニア」は「クラウンエステート」と何が違う?
トヨタ新型「クラウン シグニア」は「クラウンエステート」と何が違う?

 2022年7月にフルモデルチェンジを受け、日本では16代目となったトヨタ「クラウン」は50年ぶりに米国での販売も復活しました。

 日本でいうところクロスオーバーモデルが、「TOYOTA CROWN」として2023年モデルとして販売が始まりました。

 ちなみにアメリカにおけるトヨタ最上級セダン「アバロン」が2022年モデルで販売終了となったため、アバロンに代わるモデルとしてクラウンが投入された経緯もあります。

 2023年11月下旬に開催されたLAオートショーではすでにアメリカで発売中のクラウン(クロスオーバー)に加えて、日本でいうところの「クラウンエステート」(2023年度内に発売予定)が「トヨタクラウンシグニア」の2025年モデルとして一般公開されました。

 ちなみに、「TOYOT CROWN SIGNIA」の車名は2022年9月に米国特許庁に商標登録の申請がされています。

 シグニアにはワゴンの意味はないと思われますが、そもそもどのような意味があるのでしょうか。

 トヨタ自動車広報部に確認したところ、「Signiaという車名は『徽章』(きしょう)を意味するinsigniaに由来しています。

 長年にわたるクラウンの重要性を示すとともに、新時代へと突き進む革新性、創造性、功績を表現しています」という回答でした。

 気になるのは米国仕様に日本と同じ「エステート」ではなく「シグニア」の車名が使用されている理由です。

 昨今の「ステーションワゴン」事情とクラウンのブランドイメージの両方が関係していると考えられます。

 そもそも、ステーションワゴンのことを「エステート」と呼ぶのはイギリスが発祥で、アメリカではなじみがありません。

 また、「ステーションワゴン」や「車名+ワゴン」という呼び名も1980年代から1990年代にかけてはビュイック「リーガルワゴン」やトヨタ「セプターワゴン」、ホンダ「アコードワゴン」など多くの車種に使われていましたが、それらのほとんどは2000年代初頭で消滅しています。

 その後、欧州車ではメーカーごとにワゴンモデルに独自の呼び名をつける例が一般的となり、かつてはエステートがおなじみだったボルボも現在はセダンは「S」、エステートは「V」シリーズとして統一しています。

 このほか、欧州では「スポーツブレーク」「ツーリング」「シューティングブレイク」などエステートやステーションワゴンという名称を付けない傾向が強まってきたとも言えます。

 逆に日本でクラウンエステートとした理由は、1999年から2007年まで存在していた「クラウンエステート」の名前を継承する意味合いがあったからといえるでしょう。

 近年、世界的にSUVやクロスオーバーの人気に押され、またワゴンの形状やコンセプトが多様化したこともあり「エステート」「○○ワゴン」という名称が減っている現状もあるといえます。

 またアメリカではワゴン=古臭い、商用車っぽいというイメージが強く、荷物の積載能力を誇る実用的なクルマを連想させます。

 そのようなイメージが新型クラウンに合わないのは明らかです。

 スポーティで先進的、セダンの快適性とSUVの多用途性を両立したフラッグシップモデルにふさわしい車名、ということで新たに「シグニア」の名前が付けられたと考えられます。

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