渋滞時「先頭合流」はズルい? 多くの人がまだ勘違い… 効果抜群「ファスナー合流」とは?

ファスナー合流は高速道路のマナーとして心掛ける必要があり、スムーズなクルマの流れをまもるためにも大切です。なぜファスナー合流が推奨されているのでしょうか。

合流地点でファスナー合流が推奨されている理由

 高速道路を走行する際のマナーとして、合流地点で「ファスナー合流」を行うことがあげられています。

 なぜファスナー合流が推奨されているのでしょうか。

高速道路の合流、苦手な人多くない? どうすればいいの?
高速道路の合流、苦手な人多くない? どうすればいいの?

 ファスナー合流とは、高速道路の合流部の先端部分で合流車線と本線のクルマが1台ずつ交互に合流する方法のことです。

 たとえば、それぞれのクルマがバラバラのタイミングで本線に合流していると、本線を走行しているクルマがブレーキを踏む回数が多くなります。

 ブレーキを踏む回数が多くなるとその分渋滞が起きやすい原因になってしまいます。

 少し前まではファスナー合流のために先頭まで移動するクルマを「ズルい」と感じる人も多かったのですが、近年では合流地点でのマナーとして定着しました。

 ズルいと感じる人の感覚としては渋滞時に本線はゆっくりとしか進めていない状況で、合流車線のクルマが自分よりも前で合流するのがモヤモヤするとの意見が多いようです。

 現在でもファスナー合流がズルいと思っている方が一定数いますが、各高速道路などを管理している企業ではホームページ上でファスナー合流(ジッパー法)を呼びかけています。

 ファスナー合流を推奨した経緯について、NEXCO中日本の担当者は次のように話します。

「かつて名神 一宮JCT(上り線)付近では、東海北陸道から合流する車両が加速車線のいたるところから名神に合流するため、名神や東海北陸道の交通の流れを悪くし、このことが一宮JCTの渋滞発生の一因となっていました。

 そこで、東海北陸道から名神上り線に合流する箇所に設置するラバーポールを加速車線の先頭方向まで延伸することによって、規則正しく1台ずつ合流する『ファスナー合流』を促し、合流時の交通の流れをスムーズにしました。

 同様の対策を、名神 一宮IC(下り線)でも実施しました」

 さらに、ファスナー合流を実施した効果について、次のように述べています。

「運用開始から2か月間の交通状況を前年同時期と比較した結果、交通量はほとんど横ばいであったにも関わらず、名神と東海北陸道を合わせた渋滞による損失時間は約3割減少しました。

 現状においてもこのような効果を期待して、一宮JCTの対策を継続、また下り線一宮ICの合流部においても対策を実施しています」

※ ※ ※

 また、最近では強引な合流を防ぐためにラバーポール区間を合流車線先頭まで伸ばして、スムーズなファスナー合流ができるような工夫がされている場所も多くなりました。

 すべての場所でラバーポールを設置できればさらに効率的にファスナー合流ができるかもしれませんが、加速車線に十分な長さが確保できていない場所での導入は難しいというのが実情です。

 ファスナー合流は高速道路でスムーズな合流を実現する以外にも、合流箇所を少なくすることで接触事故を防ぐという効果も期待できます。
 
 また、ファスナー合流による安全性への効果について、前出の担当者は次のように話しています。

「いたるところから合流するよりも、先頭で1点で合流したほうが車両の錯綜が少ないので、安全面からも有効であると考えております。安全面での効果は引き続き検証を続けます」

※ ※ ※

 もしも接触事故が起きてしまうと、事故対応などでさらに高速道路が渋滞してしまいます。

 先頭で交互に合流するファスナー合流をドライバーが意識すれば、渋滞や事故を減らしながら高速道路での損失時間を抑えられます。

 海外では渋滞が発生していなくても合流地点では交互に1台ずつ合流することが義務付けられている国もあり、違反すると法律違反に該当するケースもあります。

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