高速の深夜割引なぜ「距離上限」追加? 普通車は「1時間100kmまで」とするルール見直し案、NEXCOが公表

NEXCO3社が、高速道路料金の深夜割引の見直しをめぐり、無謀な運転を抑止する対策案を公表しました。

大型車は1時間あたり80kmまで

 NEXCO東日本・NEXCO中日本・NEXCO西日本は2023年11月7日、高速道路料金の2024年度中の深夜割引見直しに向け、無謀な運転を抑止する対策案を公表しました。距離に上限を設けるという内容です。

東名・東京本線料金所前の滞留状況。2020年12月23日23時58分撮影(画像:国土交通省)
東名・東京本線料金所前の滞留状況。2020年12月23日23時58分撮影(画像:国土交通省)

 現在の深夜割引は、ETC搭載の全車種を対象に、0時から4時までの間に入口または出口の料金所を通過すると通行料金を30%割り引くというものです。走行距離の制限はありません。

 この制度をめぐっては、料金所の手前で割引開始の0時を待ったり、割引で走れる距離を伸ばそうとしてスピード違反を犯すなど、労働環境の悪化や無謀運転につながっていると指摘されており、見直しが進められてきました。

 これまでの検討内容としては、対象時間帯を22時から翌5時までの7時間に拡大する一方で、割引はその対象時間帯に走行した分のみ(時間帯からはみ出た分は割引なし)とします。また、長距離利用者の負担軽減措置として、400km超の長距離逓減(割引)を拡充します。

 これらの内容を踏まえて今回公表された案は、車種区分や、22時から翌5時までの利用時間などに応じて、上限距離を設定するというものです。

 上限は、1時間あたり軽自動車や普通車は100km、大型車や特大車は80kmですが、速度計の誤差などを考慮して、実際は1時間あたりそれぞれ105km、85kmで計算されます。“距離稼ぎ”の速度超過を抑制するのが狙いです。

 ただし、利用時間が4時間以上を超えると、上限距離から利用時間30分に相当する分が減らされます。これは、厚生労働省が定める、4時間連続運転するときは30分以上の休憩を取るという、いわゆる「430休憩」の基準を踏まえたものです。

 NEXCO各社は、上限距離設定は「速度超過などの無謀な運転を容認するものではありません」と説明しており、実際に走る際は、引き続き実際の路面状況や速度標識などを確認して交通ルールやマナーを守ってほしいとしています。

 今回公表された案は、一般からの意見募集を経て、国土交通大臣宛てに申請される予定です。

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