「設備はリムジン並み?」 競走馬を乗せる「謎のバスみたいな乗り物」正体は? 実は超VIP待遇な 「馬運車」とは

馬ファーストの車内設備はどのようになっているの?

 大江運送の馬運車は全輪にエアサスペンションが装備されており、乗り降りの際に車高を低くすることが可能です。

 エアサスペンションが衝撃を吸収してくれるため、乗り心地も非常に快適なものとなっています。

 馬運車の内部は6頭積み仕様となっており、後方のゲートからなかに入ると、中央に畳と呼ばれる仕切りが3枚、1列に並んでいます。

 この仕切りが畳と呼ばれるのは、運行が始まった当初は実際に畳を使用していたため、その名残から由来しています。

 また、畳と畳の間にもカーテンが備え付けられており、これは相性の悪い馬同士や異性の馬が左右に並んだときに、お互いの干渉を防ぐためのものです。

 前後の馬を仕切るための扉もあり、完全な個室を作れるようになっています。

 馬房の奥には倉庫が取り付けられており、馬糞を片付けるためのスコップや、輸送中に馬をつなぐための輸送もくしの予備など、輸送に必要となる道具が仕舞われています。

 この倉庫が備わっているのは大江運送のみといわれています。

昭和44年に設立され、馬運車の運行で活躍している大江運送の馬運車(画像提供:大江運送)
昭和44年に設立され、馬運車の運行で活躍している大江運送の馬運車(画像提供:大江運送)

 倉庫のさらに奥には扉があり、これは馬たちに何か起きたときにすぐに駆けつけられるよう、運転席と通じています。

 天井には換気扇が備え付けられていて、ホコリを排出したり空気の流れを作るために調整がされています。

 また、北海道から様々な場所へ輸送するため、急激な寒暖差に対応できるよう、エアコンなどを使い常に一定の温度を保てるよう細心の注意を払っているそうです。

 エアコンや換気扇の調整は、すべて運転席で行っています。馬房にはカメラが取り付けられており、ドライバーがその様子を運転席のモニターから確認できます。

 そんな運転席の後ろ側には乗務員のための二段ベッドが備えつけられており、長距離での運行に対応できるようになっています。

※ ※ ※

 競馬場で歓声を浴びている競走馬たち。彼らが競馬場の地で活躍している背景には馬運車の存在がありました。

 70年以上の歴史をもつ馬運車には、馬たちを無事送り続けるための試行錯誤と改良が重ねられ続けているのです。

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Writer: Peacock Blue K.K.

東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。

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