なぜ軽の「64馬力規制」は続く? 軽EV登場でトルクは小型車並み! 一方最高出力の「自主規制」は残る理由とは

「64馬力規制」を守り続ける意外な理由

 実際のところ、BEVはもちろん、ガソリン車であっても64馬力を超える最高出力を持つ軽自動車を開発すること自体は難しくないようです。

 にもかかわらず「64馬力規制」を撤廃しようという動きが見られないのは、そもそもユーザーがこれ以上ハイパワーな軽自動車を望んでいないという側面があるようです。

 この点について、日産の担当者は次のように話します。

「軽自動車をお選びいただくお客さまは、サイズや維持費などを重視している人が多いと考えています。

 そういった意味では、軽自動車は現状の枠組みのなかでも様々なシーンで必要十分な性能を有しています。

 サクラについてもお客様より『期待以上の加速性能』との評価をいただいておりますので、必ずしも馬力(出力)が足りていないとは考えていません。

 日産としては、今の軽自動車という枠組みのなかで、より魅力的なクルマを提供したいと考え、日々開発を行っています」

三菱が展開する「eKクロスEV」
三菱が展開する「eKクロスEV」

 日本の新車販売における軽自動車の比率はおよそ4割となっており、そのほとんどは日常の生活の足として活用されています。

 もちろん、一部のユーザーはよりハイパワーなクルマを求めるかもしれませんが、その際にはコンパクトカーなどを選ぶことで事足りるケースがほとんどです。

 そうした現状を考えると、実際には「最高出力64馬力以上の軽自動車」に対するニーズはほとんどないのが実情です。

 つまり、サクラ/eKクロスEVをはじめとする現代の軽自動車は、「64馬力規制」に囚われているというよりも、それを打ち破るメリットがほとんどないため、結果として自主規制の範囲内でのクルマづくりを行っているというのが実際のところのようです。

※ ※ ※

 バイクのなかには、軽自動車と同等の排気量のエンジンを搭載しながら、軽自動車をはるかに凌ぐ最高出力を持つモデルも珍しくありません。

 たとえば、ホンダ「CBR650R」は650ccのエンジンで95馬力を発揮するほか、輸入車の中には100馬力を超えるものも存在しています。

 このことからも、技術的には64馬力以上の軽自動車を開発することは難しくないことがわかります。

 ただ、高性能なバイクのようなエンジンを搭載した軽自動車が扱いづらいことからも、ユーザーが軽自動車に求めているものとはかけ離れていると言えそうです。

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1件のコメント

  1. 単純に考えて軽規格の車体では事故ったときのことを考えると、あまりパワーのある車は危険って感じじゃないかと。
    軽だと最高速度よりも発進時のスムーズな加速と登坂性能がもうちょっと欲しいってくらいでしょ。のんびり乗りたいけど、燃費を考えると少し踏みすぎるって感じかな。トルク無いんで。

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