チャイルドシートが「11年ぶりに安全基準」を刷新! 旧基準「R44製品」は生産終了へ

R129とR44何が違う?

 それでは、R129とR44は何が違うのでしょうか。簡単にまとめると以下となります。

 1.R44が体重を基準に選んでいたのに対してR129は身長基準で選びます。

 2.R129では、前後からの衝撃だけでなく側面(左右ドア側)からの衝突から子どもをよりしっかりと守れるよう、製品試験において新たに側面衝突試験が義務化されています。

 2.R129では、生後15ヶ月を超えるまで必ず進行方向に対して後向きで使用することが義務付けられています。

 しかし15か月を過ぎていても身長が76cm以上にならない限り前向きは厳禁です。

 後向き使用は前面衝突時に背もたれ(シートの固いシェル部分)全体で衝撃を受けるため赤ちゃんへの負担が軽減されるためです。

 ところで、日本ではチャイルドシートの義務年齢は5歳までとなっていますが、実際6歳の体格では大人用のシートベルトを安全に使うことはできません。

 そこでジュニアシートを使うことになるわけですが…身長100-150cmと非常に幅広い体格で使えるジュニアシートはいつまで使うべきなのでしょうか。

 R129においては多くのジュニアシートが身長100~150cmまで対応する仕様となっています。

 日本はチャイルドシートの安全基準に国連欧州基準を採用しており、欧州の多くの国ではクルマのシートベルトが安全に使える身長150cmまではジュニアシートの使用が義務付けられているからです。

 国内、海外を含めて国際基準に沿って自動車を生産する自動車メーカーにおいては、後部座席の安全性を確認する際に使う一番小さなダミーの身長は145~150cmです。

 そこで、日本自動車工業会でもジュニアシートは身長150cmまで使用することを推奨しており、その証拠に自動車メーカー各社の純正ジュニアシートはすべてR129適合のISO-FIX固定タイプで身長150cmまで安全に使える製品が用意されています。

 なお前述の通り、2023年9月1日以降も旧基準R44に適合したチャイルドシートを販売したり、使用したりすることには問題がありません。

 しかし、R44にしてもR129にしても正しく装着しないことには安全性が確保できないことを覚えておきましょう。

ブースタータイプでR129基準を満たしたジュニアシートはISO-FIXとベルトの両方で固定可能
ブースタータイプでR129基準を満たしたジュニアシートはISO-FIXとベルトの両方で固定可能

 また、「安全基準に適合!」「Eマークついてます!」と盛んにアピールしている製品もありますが、実は同じ安全基準に適合していても製品によって安全性能には大きな幅があります。

 チャイルドシートは、安全基準に適合していればどれも同じではありません。

 国土交通省が毎年公表しているチャイルドシートアセスメントの結果を見るとR44やR129の安全基準には適合していても、実際の衝突試験は「優・良・普通・推奨せず」の4段階で評価されています。

 安全性の高いチャイルドシートを正しくしっかり装着して大切な我が子を守ってあげて下さい。

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Writer: 加藤久美子

山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。

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