日産「スカイライン」次期モデルはどうなる? 最強「NISMO」登場も「全面刷新」はまだ?登場すべき新型の姿とは
「クラウン クロスオーバー」のようになる可能性も?
いっぽうで、全く違う方法もあり得ます。それは、トヨタ「クラウン クロスオーバー」のパターンです。
2022年にクラウンがフルモデルチェンジし、新型シリーズのうちの1台である「クロスオーバー」は、メカニズムにもそれまでの伝統を打ち破る変化がありました。
ずっとこだわっていた「エンジン縦置きの後輪駆動(とそれベースの4WD)」から、全車とも「エンジン横置きの4WD」となったのです。
しかも後輪はすべての駆動力をモーターが生み出すタイプで、いうなれば「エンジン横置きで前輪駆動ベースの電動4WD」。
それまでもクラウンのオーナーからすると違和感しかないのかもしれませんが、いっぽうで市場からは好評なのはご存じのとおりです。
そんなクラウンの転身と同じ手法が、スカイラインにも使えるのではないでしょうか。
パワートレインは、エンジンを排気量2リッターの4気筒可変圧縮ターボ(「エクストレイル」の1.5リッター直列3気筒エンジンよりひと回り大きい海外向け専用のVCターボで最高出力は約272ps)をベースとしたe-POWERとし、前後モーターの4WDとしたうえで、リアに多くのトルクを送る前後駆動力配分とすれば、「クラウン クロスオーバー RS」がそうであるように、FRらしいハンドリングを作ることは難しくありません。
思い切って、リアモーターだけとした後輪駆動だって考えられます(電気自動車「アリア」の「B9(FFモデル)」のフロントモーターは242psなのでこれを活用する手も)。
このドライブトレインであれば、プラットフォームはFF車用(4WDとしてリアモーターを組み込める設計としたタイプ)を活用できそうです。
北米向けのセダン「アルティマ」などと共同開発とし、アルティマは前輪駆動、スカイラインは後輪により多くのパワーを送る4WD、もしくは後輪駆動とすればいいでしょう。
そのプラットフォームはセダンに使うだけであれば採算的に厳しいかもしれませんが、FFセダンにも使い、さらにクロスオーバーSUVにも活用できる設計とすればハードルが下がります。
いっぽうで「そんなのスカイラインじゃない」というファンもいるかもしれません。
しかし、伝統的なサルーンであるクラウンがそうだったように、セダンもこれまでの殻に籠ってばかりいると時代に取り残されてしまいます。それよりも、時代を見据えて「継続できること」を考えたほうがいいというのが筆者(工藤貴宏)の考えです。
筆者もスカイラインファンの1人として、スカイラインがいつまでも残って欲しいと思わずにいられません。
だからこそ、トラディショナルなスタイルにこだわって時代に取り残されるのではなく、型を変えて時代の先を進むようなセダンになるのも大歓迎したいと考えています。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。
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