トヨタの「斬新SUV」販売は順調?「クラウンクロスオーバー」登場も従来オーナーは様子見か? 新生クラウンの実力は?
2022年にトヨタ「クラウン」がフルモデルチェンジし、16代目モデルとして4タイプ登場することが明らかになりました。そのなかで先行して発売されたのが「クラウンクロスオーバー」ですが、販売面はどのような状況なのでしょうか。
4つの新型クラウンのうち、まずは「クロスオーバー」が発売
最近は既存の車種がフルモデルチェンジを行っても、その変わり方に驚くことは少なくなりました。
2023年6月に発売されたトヨタ新型「アルファード/ヴェルファイア」は、豪華さや快適性をさらに高めましたが、フロントマスクや外観の雰囲気は先代型を踏襲。同年8月に初公開されたホンダ新型「N-BOX」(3代目)も外観は先代型に似ています。
その一方で、2022年7月に公開されたトヨタ新型「クラウンクロスオーバー」には驚かされた人も多いでしょう。
クラウンは1955年に初代モデルを発売して以来、セダンを中心に進化してきたのに、クラウンクロスオーバーは車名が示す通り“クロスオーバーSUV”に発展したからです。
外観を見ると、フロントマスクは鋭角的になり、標準装着されるタイヤサイズは大径の19インチと21インチです。タイヤが収まるフェンダーにはブラックの縁取りがあり、外観はSUVの手法に沿って大胆にデザインされています。
従来のクラウンは保守的なセダンの代表だったので、この豹変ぶりは大いに話題になりました。伝統あるクラウンを大きく変化させたことは、「トヨタが変わった」ことも感じさせます。
クラウンが豹変した背景には、登録台数の大幅な落ち込みがあります。クラウンの登録台数は、1990年には1か月平均で約1万7300台に達しましたが、現行モデル(16代目)へのフルモデルチェンジ直前の2021年は約1800台でした。約30年間でクラウンの売れ行きは10分の1まで減ったのです。
こうなるとクラウンの役割は終わったと判断して廃止する選択もあったと思いますが、伝統ある車種だからそれは避けたいところ。そこで生き残りを掛けて、人気のカテゴリーとされるSUVに進化させたのです。
クラウンのバリエーションは、既に発売されたクロスオーバーだけではありません。今後の発売予定モデルとして、SUVでは全長の短い「クラウンスポーツ」と、サイズに余裕を持たせた「クラウンエステート」、さらに伝統の「クラウンセダン」も用意。クロスオーバーを含めると4車種をそろえて、海外でも売るのです。
クラウンクロスオーバーの発表時点で「約40の国と地域で販売され、クラウンシリーズの販売台数は年間20万台」と案内されました。
4タイプのボディをそろえる理由は、クラウンの廃止を何としても避けたいからでしょう。それにしてもクラウンクロスオーバーの国内における売れ行きはどうなのか、これによってクラウンシリーズの将来も左右されます。
直近の1か月平均登録台数(2023年1月~7月、以下同様)を見ると、クラウンクロスオーバーは3784台でした。これは売れ筋グレードの価格帯が450万円以上の車種としては、堅調な部類に入ります。1か月の販売目標とされる3200台も達成できています。
2021年における先代型の登録台数は前述の通り1か月平均で約1800台だったので、クラウンクロスオーバーへと刷新されて2倍以上に増えました。
しかしほかのトヨタの上級SUVと比べると、クラウンクロスオーバーが一概に好調とはいえません。
例えば「ハリアー」は2020年の発売ですから、クラウンクロスオーバーよりも設計が古いですが、1か月平均登録台数は7121台に達しました。クラウンクロスオーバーの約2倍も販売されているのです。
「RAV4」は2019年の発売なのでさらに設計が古いのですが、1か月平均登録台数は4232台。これもクラウンクロスオーバーを上まわります。
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