「海沿いのクルマ」なぜすぐサビる? とくにサビやすい部分はどこ? サビ防止に有効な対策ある?
海の近くのクルマはボディにサビが発生しやすいとされています。どのパーツにサビが発生しやすいのでしょうか。また、どのような対策を施せば良いのでしょうか。
クルマのどのパーツにサビが発生しやすい?
夏のドライブで、海沿いの道を走るのは気持ちが良いものです。その一方で、海の近くのクルマはサビが進行しやすいとされており、放置すると深刻な事態になってしまいます。
どのように対策すべきなのでしょうか。
海のそばのクルマに発生するサビは「塩害」が原因とされており、海水に含まれる塩分が潮風などによって運ばれて、クルマにサビを発生させます。
海岸沿い走るクルマはどうしてもこの塩害の影響を受けてしまうのです。淡路島などのように内海に囲まれた地域では1km以内、外海と接している地域では2km以内が「塩害地域」とされており、内海・外海とも半径300m以内は「重塩害地域」(塩害が多い地域)とされています。
周囲を海に囲まれている日本では、塩害が多くの地域で発生する可能性があるといえるでしょう。
塩害によって金属が変色・腐食したのがサビの正体ですが、クルマの多くは「赤サビ」と呼ばれる種類のサビが発生し、外観の悪化や形状の劣化を引き起こします。
この赤サビのボディ下部やボルトなどで発生することが多いのですが、フェンダー内(タイヤハウス内側)やドアステップまわり、ボンネット裏側、ホイールにも発生することもあります。
フェンダー内のサビは、夏よりも冬に発生することが多いかもしれません。というのも、冬場に凍結の多い地域で道路にまかれる融雪剤(塩化カルシウム)が原因となるからです。
融雪剤がまかれた道路を走行するとボディ下部に付着し、エンジンルーム内やボンネット内、フェンダー内、時にはトランク下部が侵食され、なかでも水が溜まりやすい箇所に発生しやすいといえるでしょう。
また、ドアステップまわりは、雨水などが車内に入らないように排水ルートを備えているのですが、外から見える部分ではないので、ある程度のコーティングやサビ止めしか施されていません。
そのため、洗車したときなどにドアステップまわりをキレイに拭き取りしていないと、排水ルートに沿ってサビが発生しやすくなってしまいます。
さらに、ボンネット裏側も走行による融雪剤のまきあげや潮風で付着した塩分が雨などによって溜まりやすい場所ですが、やはりボンネット裏側も外から見えるところではないので、ドアステップ同様そこまでキレイなコーティング・サビ止めは施されていません。
そしてボンネット裏側には、遮熱シートや吸音シートなどが貼られていることもあり、塩水などが浸入したときには溜まりやすい構造だといえます。
外見はキレイなのに、ボンネットを開けるとサビだらけのクルマもあり、注意が必要でしょう。
加えて、ホイールもサビやすい箇所のひとつ。ホイールは走行中に当たった小石などで細かな傷が付いてしまうのですが、その傷が上層のクリア塗装をはがして、アルミ本体に水などが浸入し、融雪剤などをダイレクトにまきあげてサビやすくなるのです。
このようにクルマでサビが発生しやすい場所は多くありますが、適切な対策を施すことでサビの発生を遅らせることができます。それは、「下回り洗浄」と「下回り塗装」です。
クルマのボディは多くの人が洗車しているかと思いますが、ボディの下部やそのほかの部分の洗車はあまりやっていないのではないでしょうか。そこでおすすめなのが、セルフ洗車機のオプションメニューにある「下回り洗浄」です。
この下回り洗浄によって完全に塩分を落とせるわけではありませんが、ある程度の塩害を防ぐことができます。
さらに、「シャシクリア」という塗装を組み合わせると効果はアップします。細かい部分のサビに対しては、洗浄と塗装が有効です。
また、ボルトなどもサビると性能が低下し、固着して外せなくなったり、最悪の場合は折れてしまうこともあります。ボルトなどの細かい部分は、洗浄してサビ止め剤をタッチアップするだけで効果が見込めるでしょう。
加えて、ボルトホールなどのネジ穴には「潤滑材」を入れることでサビを防ぐこともできます。
現在の車両は、暴露試験と言って塗料の劣化試験行っています。
これらの試験には塩害試験も含まれますが、1970年ころから電着塗装が取り入れられれらボディの隅々まで塗装されるようになり、さび腐食は減りました。しかし、塗装面に飛び石などで表面塗装に傷がつくとそこからさび腐食が起りやすくなります。また、海岸ばかりが塩害とは限りません。冬季の融雪剤は塩化カリシウムと言って塩です。普通に走行していれば、錆び腐食をそれほど心配することはありません