対向車が「謎のライト点灯」何のため? ピカッと「パッシング行為」する意図は?
ヘッドライトを点滅させる「パッシング」と聞くと、昨今は「あおり運転」などの凶暴性が強調されるところですが、かつてはドライバーがコミュニケーション手段として用いていた時代もありました。どのような使い方があったのでしょうか。
「あおり運転」ではありません! 謎の「パッシング」ルールの数々とは
「移れば変わる世の習い」ということわざがあるように、時代が変われば世の中のルールやマナー、風習も徐々に変化していきます。
対向車による「パッシング」もそのひとつです。
パッシングとは、クルマのヘッドライトを素早く点滅させて、対向車や先行車に合図を送ることです。
ヘッドライトをチカチカさせることで周囲のクルマに合図を送り、コミュニケーションをとるというのは、かつては多く見られた光景でした。
このパッシングには、シチュエーションに応じていろいろな意味がありました。
右折待ちをしている対向車に「お先にどうぞ」という合図を送るために使われたり、逆に直進車に対して「先に行かせて」と伝えたいとき、また、譲ってくれた対向車に「ありがとう」を伝えるためなど、状況によってドライバーがその意味を読み取っていたのです。
今でも、対向車が道を譲ってくれるシーンでは、パッシングで合図を送ることはよくありますが、昨今は、あおり運転と勘違いされるといった懸念などもあってか、パッシングは以前ほど見かけなくなりました。
なかでも「この先で警察がネズミ捕り(移動式速度計測器による速度違反の取締り)をやってるよ」という意味のパッシングは、ほとんど見かけなくなったように思います。
この「ネズミ捕りパッシング」は、かつては郊外の一般道などで頻繁に見られたもので、走行中に対向車がすれ違いざまにパッシングすることで、ネズミ捕りをやっていることをよく教えてくれたものです。
なかでも、プロのトラックドライバーの人たちは相互扶助(助け合い)の精神が強く、よく教えてくれたことを記憶しています。
すっかり廃れてしまった今では、その意味を知らないドライバーも多く、対向車からパッシングをされると、「嫌がらせだ」と受け取るドライバーもいるようです。
もちろん、知らせてもらわなくても、公道では法定速度を守って安全に走行するべきです。また今の時代に、パッシングを推奨するものでもありません。
ただ、勘違いを防ぐためにも、かつてネズミ捕りを知らせるパッシングのルールがあったことについて、ドライバーならば知っておいたほうが良いことのひとつだと筆者(河馬兎)は思います。
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対向車によるパッシングにはほかにも、「この先で落下物があるので注意したほうがいいよ」というものや、バスなどの場合は、車内の異変を知らせたいとき、また対向車のヘッドライトがまぶしいと伝えたいとき、などもあります。
パッシングは、クラクションよりは威嚇や攻撃的な印象にはならず、ある程度、こちらの意図をソフトに伝えることができますが、本文中でも触れたように、あおり運転と勘違いされる懸念のほか、意図が伝わりにくいケースもあるため、やはり執拗に繰り返すことは禁物といえます。
実際、パッシングが原因でトラブルになったケースも聞かれます。
例えば対向車が渋滞し停止しているなか、右折しようと待っていたらパッシングされたので進んだところ、後方からすり抜けてきたバイクと衝突した、という事故がありました。
対向車が「危ない!」という意図で行ったパッシングを、右折車は「どうぞお先に」とくみ取ってしまった訳です。
合流車線などで合図代わりによく用られる、いわゆる「サンキューハザード」もそうですが、パッシングも、ドライバー同士のアイコンタクトや手を挙げるなどのしぐさとともに、慎重に使いたいものです。
自分直進で対抗車が強引に右折の場合はクラクションが正しいのでしょう。相手にブレーキを踏ませた時点で「進行妨害」でしょうし、相手の危険行為です。
自分の場合は譲る以外パッシングはしません。勘違いされるケースもありましたので。そういえば、右折車が只管パッシングしてたことがありましたね。なんだ。「譲りやがれ!」って意味だったんですか。知りませんよ。そんなルール。どこ発祥でしょうか。
高速道路でトラックが渋滞最後尾車がハザードを炊くって行為も、東海地方あたりから始まったルールのようですが、全国的に見られるようになってやっと日本道路公団が公式にそうするように明記したのは随分と後です。
うちの会社のトラックもその合図で「自車が停止するものだと思って後続車が追い越したが、前が車線減少で渋滞だったため、割り込まれた」というヒヤリハットが発生しているので、本来、道交法で定められていない慣例みたいなものは、指導する側として積極的に使用を推奨できませんね。