全長3.6mに3列シート+スライドドア装備! 6人乗り「低価格ミニバン」がスゴかった! 約2年のみ販売の三菱珍モデルとは
三菱にはかつて、全長3.6m程度の3列シートミニバンがラインナップされていました。どのようなモデルなのでしょうか。
日本では2年で消滅も海外ではいまだ現役
現在新車で販売中のミニバンは、売れ筋モデルのミディアムサイズでは4.7mほどの大きさを持ち、コンパクトサイズモデルでも4.3m程度のボディサイズとなっています。
なかには「もう少し小さいサイズが欲しい」と思う人も少なくないようですが、かつて3.6m級のボディにスライドドアを装備する3列シートミニバンが、三菱からラインナップされていました。
1999年6月に登場した三菱「タウンボックスワイド」は、軽キャブオーバーワゴンの「タウンボックス」をベースにしたミニバンです。
ボディサイズは全長3605mm×全幅1535mm×全高1810mmとなっており、タウンボックスからは全長が210mm延長、全幅は60mm拡幅、全高は80mmダウン。なお、ホイールベースは2390mmと共通しています。
エクステリアやボディ自体はタウンボックスと共有していますが、専用大型前後バンパーを装備したほか、ヘッドライトのデザインを三角形状に変更。ボディサイドにはバンパーから連続する形でホイールアーチやサイドを拡幅させる専用ガーニッシュを装着しています。
インテリアはタウンボックスワイドのコンセプトである「4+2シートのリッターBOXYワゴン」の通り、基本は4人乗りとしつつもラゲッジスペースに跳ね上げ式のサードシートを装備したことで、タウンボックスの積載性を損なわないようなものとなっています。
パワートレインは最大出力75馬力・最大トルク10.2kgmを発揮する1.1リッター直列4気筒に4速ATを組み合わせ、2WD(FR)と4WDの両方を用意しました。加えて、トレッド幅(左右接地面距離)を前後も15mm広げるなど、走行安定性能を高めています。
安全装備では運転席・助手席エアバッグ、セカンドシート3点式シートベルトを全車標準装備し、4輪ABSをオプションで用意しました。
価格は2WD車が139万8000円、4WD車が151万8000円に設定。上級モデルの設定はなく、モノグレードとすることで、安価でシンプルな構成としています。
登場直後の6月3日には10台限定で特別仕様車「ボディアートスペシャル」を設定。ボディペインティングアーティスト渡辺二巳秀氏によって手描きでイルカが描かれています。
2000年11月にはサイドブレーキレバーの位置変更やシートベルトプリテンショナーの装備などを含む改良が実施されています。
そんなタウンボックスワイドでしたが、販売面は苦戦。三菱の不正なども重なり、2001年8月には早々に販売を終了。三菱の資料によれば、約2年でわずか4274台の販売にとどまりました。
一方で、国外ではこうしたシンプルなコンパクトミニバンが高いシェアを持っており、三菱の実質的な台湾法人であるCMC(中華汽車)ではほぼ同型のモデルが「ベリカ」として販売しています。
現在販売中のモデルはフロントフェイスなどが変更され、ブラインドスポットモニターやリアクロストラフィックアラート、ヒルスタートアシストなどが装備。乗車定員は日本とは異なり8人となっています。
デザインは大きく異なっているものの、短いボンネットにボクシーなスタイリング、フロント・リアドア周辺にタウンボックスワイドの面影を残しています。
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タウンボックスワイド同様に、トヨタやスズキ、スバルでも軽キャブオーバーバン・ワゴンをベースにしたミニバンがいくつか展開されていましたが、スバル「ドミンゴ」を除き、いずれも短命に終わっています。
一方で、新車が高機能・高価格化する現在、このような最低限の装備を持ちながらも大人数が移動できるシンプルな構成のバンが求められているのかもしれません。
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