トヨタ「元祖高級ミニバン」なぜ消滅? 「天才タマゴ」で親しまれた革新ミニバン「エスティマ」 大ブームの後に何があったのか

トヨタ新型「アルファード/ヴェルファイア」が発売され、レクサス「LM」が今秋に登場するなど、日本の高級ミニバン市場が活気づいています。そこで思い出すのがトヨタの元祖高級ミニバンとも言える「エスティマ」ですが、復活することはないのでしょうか。

一斉を風靡したミニバン「エスティマ」何故消えたのか

 トヨタは2023年6月に、新型高級ミニバン「アルファード」と「ヴェルファイア」を発売。また秋にはレクサスブランドの新型高級ミニバン「LM」を日本でも発売することを発表しています。
 
 3台とも先代モデルからさらに高級感と迫力を増したエクステリアや豪華な内装が大きな話題となっていますが、かつてトヨタには元祖高級ミニバンとも言えるクルマ「エスティマ」が存在しました。

初代トヨタ「エスティマ」
初代トヨタ「エスティマ」

 1990年に発売した初代エスティマは、ミニバンというよりも「新しい高級車の姿」を提案したモデルであり、メーカー自ら「天才タマゴ」のキャッチフレーズを使用したように、つるんと丸みを帯びたタマゴ型ボディが大きな特徴でした。

 これは世界的にも珍しいアンダーフロア型ミッドシップレイアウトを採用したことで実現できたスタイリングで、具体的には、エンジンを75度横に寝かせつつ前輪タイヤを運転席よりも前方に配置するという複雑な構造となっています。

 これによってミッドシップでありながら広大な室内空間と快適な乗り心地、高い静寂性を獲得することに成功したのでした。

 かくして初代エスティマは、約300万円という当時としては決して安価でない価格でありながらも高い人気を獲得し、一躍日本のミニバンを代表する1台となったのです。

 そして、すでにエスティマの名が知れ渡っていた1992年には、ボディを小型化し5ナンバーサイズに収めた「エスティマ ルシーダ/エミーナ」が発売。

 両モデルはエントリーグレードにおいて3ナンバーサイズの本家エスティマと比較して約100万円も安価という価格設定も幸いし、「子エスティマ」として親しまれ、ルシーダとエミーナともに成功を収めました。

 こうしたことからエスティマの名はますます人気が高まり、完全にミニバンの定番車種として認知されることになりました。

 2000年には初のフルモデルチェンジが敢行され、2代目エスティマが誕生。

 2代目ではルシーダとエミーナが消滅し、再びエスティマというクルマの1本化が図られます。

 また、モデル途中でハイブリッドシステムを搭載した「エスティマ ハイブリッド」が登場。大きな車体でありながら、力強い加速と低燃費を両立し、ますます人気に磨きがかかると思われました。

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