クルマのドアについてる「謎のハンドル」どんな機能? 涼しい顔で「回す練習」する人も!? もはや懐かしい「手動装置」とは

クルマの窓の開閉は、現在では軽や商用車でも「パワーウインドウ」が標準装備され、昔の「手で回すタイプ」は今や絶滅寸前のようです。そんな「手動ウインドウ」を振り返ります。

新車では絶滅危惧種!? ぐるぐるやって開ける窓が「懐かしい」!

 クルマの窓の開け閉めといえば「ボタンをポチ!」が当たり前な一方、少し前までは「ハンドルぐるぐる!」なタイプも少なくなかったのですが「えっ、そんなの知らない!」という世代も増えてきたようです。
 
 ここ10数年ですっかり変わってしまった、クルマの「窓の開閉」事情について紹介します。

窓を開けるときには「くるくる」! もはや懐かしい「謎のハンドル」とは[画像はトヨタ「スターレット」]
窓を開けるときには「くるくる」! もはや懐かしい「謎のハンドル」とは[画像はトヨタ「スターレット」]

 カーエアコンが進化した現在でも、車内の換気をする際やコインパーキングでのチケットを取るとき、またはドライブスルーで商品を受け取るときなど、意外と開閉する機会の多いドアウインドウ。

 そんなドアウインドウを開閉する際は、ドアに設けられた「パワーウインドウ」スイッチを操作し、ワンタッチで開閉できることが現在では当たり前となっています。

 しかし、ほんのひと昔前までパワーウインドウは、上級車種や上級グレードに用意される贅沢装備のひとつとなっていました。

 ではパワーウインドウがない車両はどのようにして窓を開けていたのかというと、ウインドウレギュレータと呼ばれるハンドルを「クルクル」と(車種によっては力がいるので「グルグル」と)回すことで、窓を上下させていたのでした。

 そのため、当時はパワーウインドウが付いていない車両であることを悟られないために、一定の速度で窓が下がるよう、涼しい顔でスムーズにレギュレータを回したり、レギュレータを回していることが分からないように、肩の位置が動かないように回したりなど、涙ぐましい努力をするユーザーもいたほどだったのです。

 ただパワーウインドウの仕組み自体は意外と単純で、基本的には手動でクルクル回すレギュレータの部分をモーターの力で代わりに回しているだけというシンプルなものであるため、社外品として「後付けパワーウインドウキット」も販売されています。

 ちなみに、基本的には窓を開けるときは車体前方側(押し下げるイメージ)にハンドルを回し、窓を閉めるときは車体後方側(引き上げるイメージ)にハンドルを回すのが一般的です。

 ただし「ミニ」(クラシックミニ)など一部の車種においては、この動作が逆になっているものもあるため、前方に回してもし開かなかったとしても、力いっぱい操作するのは厳禁です。

 なお現在ではほとんど見ることがなくなった手動ウインドウではありますが、コストに厳しいビジネスユースの車両では、現在でも手動ウインドウを採用している車種もあります。

 現在では標準でパワーウインドウが装着されている現行型ハイエース(200系)も、初期にはパワーウインドウが備わらないグレードが存在していました。

 キャビンの広いトラックなどでは、運転席は手動であるものの、助手席側のみパワーウインドウという組み合わせも存在していましたが、これはキャビンが広く1名乗車のケースの多いトラックということで、助手席側の窓を開けやすくするための苦肉の策だったようです。

 また現行モデルの乗用車であっても、ビジネスユースに特化したトヨタのハイブリッド車「アクア」Bグレードにおいては、開閉頻度の少ないリアドアのウインドウのみ手動式となっており、徹底したコスト管理が見て取れます(これは初代アクアも同様)。

 このように今では見る機会もすっかり減ってしまった手動ウインドウではありますが、コストの面だけではなく、モーターなどが備わらない分軽量である点や、故障のリスクが減ること、万が一車両の電力の供給がストップしてしまった場合でも開閉できること、誤って窓の間に指などを挟み込んでしまうリスクが少ないことなどのメリットもあり、現在でも手動ウインドウを支持しているユーザーは一定数いるよう。

 手動ウインドウが完全に姿を消すのは、まだ先の話になりそうです。

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Writer: 小鮒康一

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。

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