何がスゴい? MT車に特化した「こだわりの制御」とは? 新「アイサイト」の特徴
追従機能付きクルーズコントロールの特徴は?
MT車向けアイサイトのもうひとつのポイントとなる追従機能付きクルーズコントロール(以下、ACC)は、先行車両との車間を維持しながら追従走行をおこなうことによって、運転の負荷を軽減させるものです。
従来のBRZのMT車には、追従機能がない「クルーズコントロール」は搭載されていたのですが、これは設定した速度に合わせて走行するもので、先行車両との車間を維持することはできませんでした。
ACCのセット方法はAT車と同じで、ハンドル右下のレバーで操作します。シフトが2速から6速のいずれかで、かつ車速が30km/h以上のときにセットすることができ、ACC作動中はクラッチやシフトは自由に操作することが可能です。
また、25km/h以下になると追従機能がキャンセルされ、ドライバー自らが操作をおこなうことになります。
ほかにも、クラッチを5秒踏み続けたり、ニュートラルで5秒以上走行し続けるなど、追従する意思がないとシステムが判断した場合に追従機能がキャンセルされます。
このACCには、MTならではの操作に配慮した制御も加えられました。
ACCで巡航中に車速が下がった場合でも、前述のように25km/hまでは制御を継続します。これは6速でもエンジンをストールさせない速度として設定されたものです。
加えて、クラッチを踏んでいる時間が5秒以内なら追従機能が継続するので、ドライバーが余裕を持って自由にシフトチェンジすることができます。
まだ、クラッチペダルを踏んでいるときは一時的に加速を止め、エンジン回転数の吹け上りを防止しますが、再度クラッチをつなぐと即座に加速を開始し、違和感なく走行を継続できるようにもしています。
2.4リッターの豊かなトルクの効果と合わせて、巡行中に変速をおこなっても、遅れなくしっかりと先行車両に追従できる制御としました。
一方MT車では、走行速度が低下してACCがキャンセルされたときはドライバーが操作を引き継ぐ必要があります。
このようなときに備えて、低速で走行中は、従来よりも長めに車間距離を設定することでドライバーが余裕を持って操作できるようにしました。
さらに、ACC作動中に変速すると、まるで人間が運転しているかのような丁寧な追従制御をおこなうといい、システムの介入によってドライバーの意図にそぐわない挙動とならないようMTならではのさまざまな調整を施し、ユーザーが違和感なく使える機能となっています。
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2025年12月以降は、継続生産車(国産車)に衝突被害軽減ブレーキの搭載が義務化されることから、MT車向けのアイサイトの有無が、BRZの存続を決めるカギになるという状況でしたが、義務化を2年後に控えて実現が可能になりました。
なお、BRZと兄弟関係にあるトヨタ「GR86」については、米国トヨタが2024年モデルのMT車に衝突被害軽減ブレーキを搭載することを発表しており、国内仕様にも搭載されることになるでしょう。
そんななか気になるのは、BRZ以外のモデルへの搭載です。現時点で、国内で販売されるスバル車(OEM除く)にMTモデルは存在しませんが、海外で販売されている「WRX」にはMT車があります。
WRXのMT車は国内導入されないともいわれているなか、ネックのひとつであったMT車向けのアイサイトが開発されたことから、今後の導入に一歩近づいたともいえます。
スバルの開発陣は、「他車種への搭載は検討する」というに留めていますが、他車種へのアイサイト搭載を期待するMT車好きも多いのではないでしょうか。
そもそもトランスミッションそのものが旧来のシステムではないから物珍しくもないし、そのトランスミッションのシステムそのものは結構前からあったから、いまさら感があるらしいけどな。
清水和夫氏の”頑固一徹学校”2023/06/30 にライブ配信の25:30~