新車で採用増える「ガラスルーフ」 開放感高いが夏は「車内アツすぎ」? 「ガラス張り天井」で快適を保つ方法は?
天井「全面ガラス張り」で夏は暑くならないの?
天井が大きなガラスとなるガラスルーフは、車内が明るくなり、手軽に開放感を感じられるということがメリットですが、一方でデメリットもあります。
最大のデメリットは、日差しが降り注いでくることによる車内の温度上昇です。
直射日光に含まれる光のなかで、赤外線は当たった箇所の温度を向上させる性質を持ちます。
この赤外線をカットする性質を持つ「IRカットガラス」は例えば住宅用などでは一般的であるものの、クルマではごく一部の車種でフロントガラスに採用されている程度にすぎません。
そのため、ガラスルーフ最大のメリットである「日差しが届く」ことがかえってデメリットとしてはたらき、車内も熱せられてしまうのです。
しかし、近年のガラスルーフには車内が暑くならないような工夫が施されているようです。ガラスルーフを製造しているAGC広報部の担当者は次のように話します。
「トヨタ新型ハリアーの『Z』グレードやレクサス『RZ』などで採用されているガラスルーフに、『調光パノラマルーフ』というものがあります。
この調光パノラマルーフのガラスは、調光モードに設定すればガラスが半透明になり、日差しを遮ることができ遮熱性もあります」
さらに、調光パノラマルーフがもたらす効果に関して、前出の担当者は次のように話します。
「従来のガラスルーフは天井を閉める際にサンシェードを使用していましたが、どうしても車体が重くなり、燃費に影響が出るという問題があります。
調光ルーフを使用することでサンシェードが不要となり、車体の軽量化にもつながっています」(AGC担当者)
ガラスを暗く調光することで日差しを和らぎ、車内の温度の上昇を防ぐこともできるパノラマルーフですが、ハリアーなどの調光パノラマルーフでは音声で操作することもでき、快適なドライブに役立つ装備となるかもしれません。
また、全面ガラス張りとなっているため、日焼けを気にする人もいるかもしれません。これについて前出の担当者は以下のように話します。
「ガラスルーフで使用しているガラスは紫外線を99%カットできるものを使用しています。それにより、日差しの強さをやわらげています」(AGC担当者)
ルーフの大面積をガラスにすることにより、メリットとデメリットがそれぞれ対極に存在することから諸刃の剣とも言えますが、こうしたデメリットを補完するために、さまざまな技術が登場しています。
また、こういった機能が採用されていないクルマであっても、ガラスルーフ専用のフィルムが市販されているなど、これからの暑い時期に快適にドライブできるアイテムが用意されています。
※ ※ ※
開閉作業やサンシェードが不要となり、遮熱性も期待できる「調光パノラマルーフ」ですが、現状では上級グレードのSUVなどでしかオプションが用意されておらず、限られた車種でしか装備ができません。
ドライブ時に開放感を味わうことのできるガラスルーフが今後どのような需要を発揮していくのかに注目です。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。