トラック左折時の「ピピピッ」なぜ鳴らす? アラーム装置採用の背景は? 近年では「先進機能」で事故予防図るメーカーも

大型トラックやバスなどが交差点を曲がる際、「ピピピッ」などアラーム音が鳴ります。なぜ乗用車は鳴らず、大型車だけ鳴るようになってきたのでしょうか。

左折時「ピピピッ」と鳴らす理由は?

 大型トラックや大型バスが交差点を曲がる際に「ピピピッ」という連続したアラーム音が鳴っているのを聞いたことがある人も多いかもしれません。
 
 なぜ乗用車では鳴らないのに、大型車ではアラームが鳴るのでしょうか。

大型車の左折時「ピピピッ」アラームにはワケがあった(画像はイメージ)
大型車の左折時「ピピピッ」アラームにはワケがあった(画像はイメージ)

 トラックやバスを製造する三菱ふそうのメーカー担当者は以下のように話します。

「大型車の場合、左折時に車両左側が見えづらく、死角になりやすいため、並走する自転車や歩行者を巻き込む事故のリスクが高いためです」

 大型車では、ドライバーから見える「直接視界」に加え、3つのミラーから構成される「間接視界」で左側の対象物は全て見えるようになっていますが、「後方からくる自転車や歩行者」は視界に入りにくいのがネックです。

 特に車高の高い大型トラックではそのぶん死角も大きく、巻き込み事故が起こりやすい傾向にあると言います。

 実際に、全日本トラック協会が発表した2022年暦年(1月~12月)の死亡事故では人対車両(人身事故)において「横断歩道 横断中」が27件と最も高い39.1%を占め、1ヶ月に2件以上も発生していることが明らかになっています。

 こうした巻き込み事故を防ぐため、車両が左折することを音声などで車外に向けて注意喚起するアラーム「左折警報装置」を装着しているのです。

 なお、この左折警報装置は大型トラックの一部の車種(最大積載量8トン以上のダンプ車及びミキサー車のキャブオーバ―車)に設定することが国交省によって定められ、ルールによって装備が義務付けられているようです。

 一方で、左折警報装置を装着しても巻き込み事故は完全にはなくなりません。

 三菱ふそうでは、車外だけでなくドライバーに対しても注意喚起する装置「アクティブ・サイドガード・アシスト」を採用。大型トラック「スーパーグレート」では2017年から、大型観光バス「エアロクィーン」・「エアロエース」では2019年から搭載しています。

 このアクティブ・サイドガード・アシストでは、左折時に車両と並走する自転車や移動中の歩行者がいる場合に、レーダーで検知し、左側ピラー部に設置した黄色ランプを点灯させて警告。

 さらに左ウインカーの作動や、左方向へのステアリング操作によって衝突の危険があると判断した場合には、赤色のランプが点滅し、同時にブザー吹鳴により警告する仕組みです。これにより、ドライバーに注意喚起し、左折時の巻き込み事故の防止を図ります。

 2021年には従来のシステムをさらに改良し、被害軽減ブレーキを作動して車両を緊急停止させる「アクティブ・サイドガード・アシスト1.0」を、2021年6月から国産トラックで初めてスーパーグレートに搭載しています。

 同様にいすゞでは、大型トラック「ギガ」や中型トラック「フォワード」に「ブラインドスポットモニター」「交差点警報」として、UDトラックスでは大型トラック「クオン」や中型トラック「コンドル」に「スマートBSIS」「交差点警報」として採用されています。

 このように、大型トラックやバスなどでは左折時の巻き込み事故が後を経たないことがあり、そのために左折警報装置や、アクティブ・サイドガード・アシスト1.0などの先進運転支援システムを搭載することで事故の軽減を図っているようです。

 しかしながら、トラックの巻き込みによる死亡事故について今でもしばしば報道される通り、完全に減るわけではありません。

 自転車やバイクに乗車中だったり横断歩道を渡っている場合は、大型車が左折時に「ピピピッ」と鳴らしているその意味について考え、自らも事故に巻き込まれないように無理な通り抜けなどを行なわないようにしましょう。

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