なぜホンダ「フリード」売れ続ける? 発売7年目の”人気コンパクトミニバン”は平均点高め!? ロングセラーモデル「売れ続ける」訳とは

ホンダのコンパクトミニバンとして未だに安定した人気を誇るフリード。今年の9月でデビューから丸7年を迎えるロングセラーモデルですが、その人気の秘密は何なのでしょうか。考察します。

登場して7年!未だに人気の「フリード」その理由は?

 ホンダのコンパクトミニバンとして未だに安定した人気を誇るフリード。今年の9月でデビューから丸7年を迎えるロングセラーモデルですが、その人気は衰えることを知りません。
 
 衰えるどころか、昨年4月から今年の3月までの1年間の販売台数は前年比108.4%の7万9820台(月平均6650台以上)と、さらに販売台数を伸ばしているほどです。どこにその人気の秘密があるのでしょうか。

SUV風 「フリード クロスター」もある! ホンダ「フリード」が人気の理由とは?
SUV風 「フリード クロスター」もある! ホンダ「フリード」が人気の理由とは?

 初代フリードは2008年5月に登場し、それまで存在していた「モビリオ」の実質的な後継車種でしたが、角ばったデザインのモビリオに対し、フリードはスタイリッシュなデザインを採用したことで男性ユーザーからも支持を集めました。

 また2列シート仕様の「FLEX」や、ダイブダウン式のリアシートを採用して広い荷室を実現し、車中泊ユーザーなどをターゲットにした「フリードスパイク」といった派生車種に加えハイブリッドモデルを後に追加するなど、ユーザーのニーズに合わせて選べるバリエーションを増やし、豊富にしていったことも人気となった理由のひとつです。

 そして満を持して2016年9月に登場した現在販売される2代目モデルは、当初からガソリンとハイブリッドの両方を用意し、先進安全装備の「Honda SENSING」搭載車も設定。

 3列シートを備える「フリード」と、先代のフリードスパイクの特徴をより熟成させた2列シート仕様の「フリード+(プラス)」を用意し、グレード体系をシンプルにしました。

 2017年12月にはコンプリートモデルの「モデューロX」を追加し、2019年10月のマイナーチェンジではHonda SENSINGを全車標準装備としたほか、クロスオーバースタイルの「クロスター」を新たに設定するなどして現在に至ります。

 このように、アップデートが続けられている点もフリードの人気が衰えない要因のひとつと言えますが、使い勝手の面でも他社の最新モデルに引けを取らないという点も挙げられるでしょう。

 例えば3列目シートは左右跳ね上げ式の格納方法を採用していますが、これはいざというときもトランク側から操作が完結する簡単なもので、必要なときにササッと取り出せて不要であればすぐに畳むことができます。

 一方、ライバルとなるシエンタは、3列目シートは2列目シート下に格納する方法となっており、こちらは格納した状態はスッキリとするものの、3列目シートを取り出すときはいちいち2列シートを起こさなければならず、チャイルドシートなどを装着しているとかなりの手間となってしまいます。

 また、シエンタは3列目シートを独立して格納できるようにするために、2列目シートが5:5の分割となっていますが、2列目に3人乗る場合は中央に座る人がちょうど分割される部分にすわることになるため、決して快適とは言えません。

 一方のフリードは2列目ベンチシート仕様ではしっかりと6:4となっており、そもそも2列目に3人座ることがないというユーザーのためにキャプテンシート仕様が用意されているところもユーザーに支持されるポイントと言えるでしょう。

 そして2列シート仕様のフリード+では、ただ単に3列目シートを無くしただけでなく、リアセクションのフロア形状を専用のものとすることで、フラットにした荷室の下にかなり大きなラゲッジスペースを実現。さらに2WD車では超低床フロアに加えて地面ギリギリのところから大きく開くロングテールゲートを備えることで、1,255mmという驚異的な開口部の高さを実現しているのです。

 ここまでのラゲッジスペースを持ったコンパクトミニバンは現在でもフリード+以外には存在しておらず、この点もフリードの人気を後押しする原因のひとつとなっているでしょう。

 それ以外のポイントとしては、1.5リッター以下のコンパクトミニバンとしては初めてハイブリッドモデルにも4WD車を設定した点や、スポーティなコンプリートモデルである「モデューロX」が用意されるなど、選択肢の幅が広い点もフリードならでは。

 このようにフリードは様々な面で平均点以上の成績を残す優等生タイプで、デビュー7年目となった今もその魅力は衰えていないのがスゴイところ。

 全方位において欠点の少ない、買い得感あるミニバンといえます。

※ ※ ※

 そして何よりモデル末期ということもあって、商談時に好条件が出やすいということも、こういった車種を購入するファミリー層にとっては重要なファクターであることは間違いありません。

 さらに長納期が続いているホンダ車の中にあって、フリードは早ければ1カ月以内に納車も可能というスピード感もこのご時世では魅力となり、現在のような人気につながっていると言えるでしょう。

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Writer: 小鮒康一

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。

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