「客のタイヤにわざと穴…」なぜ? 1本パンクで4本新品「タイヤ保証」で不正か 中古車販売店の内情とは

不正請求の実態は? 客自身が不正請求に「加担」させられていたケースもあり

 いずれにしても契約期間は2年間で、期間内にタイヤがパンクするとパンクしたタイヤだけではなく他の3本も同時に新品となる保証サービスでした。

 保険金不正請求のパターンは各店舗で様々な方法がありましたが、全国のビッグモーターで行われていたとみられています。

 その「わざとパンクさせる」方法は、主に以下の手口です。

 ●整備や車検で預かった客のクルマのタイヤに客が知らないところでわざと穴をあける。

 保険会社に不審に思われないよう自然にパンクしたように見せる方法を動画などで指南していた店もありました。

 この場合、客には「タイヤがパンクしていましたので新品に交換させていただいています」と納車時に伝え、4本分の工賃1万2000円を請求します。

 特に対象となっていたのは、タイヤ保証サービス期間が終了間近のクルマや、溝がわずかに残っているツルツルのタイヤでした。

 ●お客自身が店に言われてタイヤに穴をあける。

「タイヤ保証サービスを使ってタイヤを新品に4本交換できます。だから、タイヤにくぎなどを刺した状態で来店いただければ4本とも工賃だけで新品に交換しますよ。」などと言って客に穴をあけさせる。

 お客にしてみれば、工賃1万2000円でタイヤ4本が新品になるので自身で穴をあけていたとのこと。

 ●「劣化で交換できる」と勘違いしたお客へのクレーム対応としてタイヤ保証サービスを使う。

 タイヤ保証サービスはあくまで事故としてのパンクやバーストが対象ですが、お客の中には『劣化で交換できる』と勘違いしている人も多くおり、クレームになるのを避ける為にお客に伝えた上でタイヤをパンクさせて交換していたこともあるといいます。
(保険会社に申請する写真を撮った後はパンク修理やスペアに交換するなどの応急処置をして安全に帰ることができるよう返却し、後日新品4本に交換)

なぜタイヤにわざと穴を開ける行為をやっていたのか?(画像はイメージです)
なぜタイヤにわざと穴を開ける行為をやっていたのか?(画像はイメージです)

 なおこれら以外に、お客のクルマではなく、社員のクルマや廃棄予定、車検切れのクルマなどに穴をあけて不正請求していた例もあります。

 そして前出のゼアーウィンスリーサービスが提供する「タイヤ保証サービス」を引き受ける保険会社はあいおいニッセイ同和損害保険です。

 タイヤ保証サービスの悪用を2021年秋にあいおいに告発したビッグモーター元社員は次のように話しています。

「内部調査を行い、タイヤ保証サービスによる保険金の不正請求の実態が明らかになったようですが、あいおいはその結果を公表していません。

 ただ、2022年にビッグモーターではこのサービス自体が廃止されています」

※ ※ ※

 タイヤ保証による保険金の不正請求は全国のビッグモーターで行われているといい、完全な保険金詐欺と考えられます。

 しかし、ビッグモーターにおける数々の不正行為は車検、整備、販売、買取の各シーンでまだ他にも多種多様なものが存在するようです。

【画像】これが「タイヤの穴あけ行為」 わざと穴を空けている様子を見る!(20枚)

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Writer: 加藤久美子

山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。

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