約1150万円のスバル「WRX」“MT仕様”が存在!? なぜ日本で販売されない? 貴重な右ハンドル車の正体とは?

アイサイト+MTの実現がハードルに…

 もうひとつは「アイサイト」の問題です。

 アイサイトとはスバルの先進安全&運転サポート機能のこと。スバルは日本市場において同社が生産するすべてのCVTモデルにアイサイトを組み合わせる一方、MTとアイサイトを組み合わせた仕様はまだありません。

 MTにアイサイトを組み合わせられないことが、日本国内において安全をウリにするスバルの方針に沿わないと判断されているようです(海外向けWRX S4のMT車はアイサイト非装着)。

タイ仕様のスバル「WRX」(写真はCVT車)
タイ仕様のスバル「WRX」(写真はCVT車)

 もちろん、トヨタなどがそうであるように、MTでも衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)を組み合わせることは一般的には問題ありません。しかしスバルは、MT車の場合はCVTと異なり衝突被害軽減ブレーキ作動時にエンストする可能性があることなどを気にしているようです。

 ただ、現在は“アイサイトなし”としている「BRZ」のMTモデルも、衝突被害軽減ブレーキの乗用車(継続生産車)への義務化に従って、2025年12月までには装着が必須となります(新型車は2021年11月から義務化)。

 すなわち、遅くともそれまでには「アイサイト+MT」の組み合わせが実現となり、アイサイト問題は解決するのではないでしょうか。

 ちなみに、タイ仕様を日本で乗ると考えた場合、日本人として気になる部分があるかもしれませんそれはメーターなどの表示です。

 当然ながらタイ語で書かれているのですが、これは多くの日本人にとって英語よりもハードルが高いことでしょう(ここまで細かくローカライズされていることに驚きますが)。

 先代「レヴォーグ」の世代までは、タイで販売されているスバルの高性能モデルは同じ右ハンドルであるイギリス仕様が導入されるパターンが多くありました(その場合は右ハンドルでもウインカーレバーが左側となる)。しかし、今ではきちんとタイ仕様として開発されるようです。

 ちなみに日本仕様のCVTモデルが400万8000円から用意されるのに対し、タイ仕様のWRX S4のMTモデルの価格は287万5200バーツ。日本円にするとなんと1150万円ほどにもなる極めて高額なプライスです。

 タイは輸入車の関税が高いのでここまで販売価格が上がってしまうというわけです。

 さすがにこの価格は“気軽に”とはいきませんが、懐に余裕があるスバリストはぜひタイ仕様に注目してはいかがでしょうか。

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Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

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