意外と知らない!? タイヤの溝「つんつるてん」だと何が危険? 放っておくと「操縦不能」? メーカー推奨の交換目安は
意外と知らない!? タイヤの溝「つんつるてん」だと何が危険? 放っておくと「操縦不能」? メーカー推奨の交換目安は
雨の日に「操縦不能」!? 知らないと恐ろしい「タイヤの摩耗」
タイヤはクルマを走行させるための最も重要なパーツと言っても過言ではありませんが、その一方で、走行を重ねるにつれてどんどん消耗していきます。
決して安いパーツではないタイヤですが、タイヤが「つんつるてん」になってしまい、摩耗が進んだ状態ではどのくらい危ないのでしょうか。
タイヤが路面と接する部分は「トレッド部」と呼ばれ、タイヤの種類によって様々な溝・切り込みが入れられています。この模様のことを「トレッドパターン」といい、主に3つの役割があります。
その役割は「タイヤと路面の間から水をかきだす」、「タイヤの駆動力・制動力・操縦安定性の確保」、そして「放熱性の向上」です。
新品のタイヤはトレッドパターンがはっきりしており、溝も深いのですが、走行するにつれてトレッド部がどんどんすり減っていき、溝が浅くなっていくとこれらの性能が低下していくのです。
特に、雨の日の濡れた路面では溝がなくなったタイヤと新品タイヤとではその違いは顕著です。
降った雨で路面上に水の膜が張っており、タイヤが路面をつかむ(グリップする)ことができずに滑ってしまいます。
この滑りはハイドロプレーニング現象(タイヤが水膜によって浮いてしまう現象)が関係しており、一般的に水深、速度、トレッドの溝の深さに影響を受けると言われています。
速度と溝の深さに注目すると、仮に溝がある場合でも、速度が速いとタイヤが水膜の上に浮いてしまいます。
ブリヂストンの公式サイトによると、同じ路面を80km/hで走行した実験で、7.5mmの溝がある新品タイヤでは一部が浮いているのに対し、3.2mmではかなり浮いてしまい、1.6mmではほとんど浮いてしまっているという結果が明らかになりました。
つまり、タイヤが摩耗していると水をかき出す性能が低下するとともに、操縦性や制動力も悪化し、制動距離も増してしまうのです。
さらに、溝が浅ければ浅いほど、速度が低くてもタイヤが浮いている状態になるため制動距離が増しやすくなります。
このように、タイヤの溝がすり減ってしまうと制動距離が伸びるなどといった危険な状態となりますが、どれくらいまで消耗したら交換するのが良いのでしょうか。
タイヤメーカーであるブリヂストンの担当者は、タイヤ交換の目安について以下のように話します。
「一般的にトレッドの溝の深さが4mmを切ると、濡れた路面では排水性能が追いつかずに浮き上がってしまい、制動距離が急激に増します。
そのため、ブリヂストンでは『道路運送車両の保安基準』で定められているタイヤの使用限度1.6mmよりも前の4mm以下になったらタイヤ交換の検討を推奨しています」
ほとんどのクルマで2年に一度行われる車検では、道路運送車両の保安基準にもとづいているため1.6mm以上残っていれば適合しますが、実際には1.6mmでは危険であり、早めの交換が望ましいようです。
なお、新品時の溝の深さについては、「タイヤサイズやトレッドパターン、求められる性能によって異なりますが、一般的な乗用車用の夏タイヤでは8mm程度と考えてもらっていいでしょう」と言います。
つまり、タイヤの溝が半分減ったら、雨の日は溝がある時以上に安全を意識して、スピードを落として運転する必要があると言えます。
特に、これから梅雨時期にかけては雨が降る日が多くなるため、ドライブ前にはタイヤの残り溝をはじめ、しっかり点検しておくことをおすすめします。
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