通行するだけで「4万円」なぜ? 突如として現る「この先、私有地」看板に困惑… 茨城「シーサイド道路」のトラブルはどうなった?

2006年から一部区間の通行止めが続いている茨城県神栖市の市道・通称「シーサイド道路」。これまで様々なトラブルが起きていましたが、2023年3月末に問題解決に向けた道筋が見えてきたといいます。では、現状はどのような状況なのでしょうか。

日本に通行料4万円の道路があったって本当?

 茨城県神栖市には、一部が私有地であるために2006年から通行止めが続いている市道・通称「シーサイド道路」があります。
 
 2023年3月末にようやく問題解決に向けた道筋が見えてきたところですが、一体どのような内容なのでしょうか。

問題となっている茨城県神栖市の「シーサイド道路」に掲げられる「この先私有地の看板」(撮影:2019年6月/(c)Googleマップ)
問題となっている茨城県神栖市の「シーサイド道路」に掲げられる「この先私有地の看板」(撮影:2019年6月/(c)Googleマップ)

 茨城県神栖市の海岸沿いを走る市道・通称「シーサイド道路」は、道路に私有地が含まれていることが原因で2006年から一部区間で通行止めが続いていました。

 通行止めは神栖市の鹿島港方面から波崎漁港方面へ向かう途中の市道でおこなわれており、通行止め区間を通行しようとすると私有地の地権者から4万円もの通行料を請求されるという驚きの道路です。

 通行止め区間付近には神栖市が設置した進入禁止の看板が数多く設置されているほか、地権者の男性が設置した「私有地につき通行止め 無断進入した場合は四万円を徴収します」、「支払いができない場合は車を預かります」などと記載された看板があります。

 この場所の通行を巡っては通行しようとする人と地権者との間でたびたびトラブルが発生していました。

 2022年11月には、警告看板を無視して私有地に入った会社役員の男性が地権者から通行料4万円を請求されたものの支払いを拒否し、口論の末に地権者の男性からクルマで衝突されて全治2か月の重傷を負うという事件も発生しています。

 このようなこともあり、地元住民をはじめ多くの人はトラブル回避のため、神栖市が推奨する迂回路を利用しています。

 実際に神栖市が2019年6月にホームページで掲載した「シーサイド道路の迂回案内」では「波崎RDFセンター付近から北に約5キロメートルの間の一部が通行止めです。迂回路をご利用ください」という文章と共に迂回図を掲載。

 さらに周辺にあるキャンプ場のホームページでは「当キャンプ場北側の、海沿いの道路は当キャンプ場周辺が私有地のため一部通行止めの場所があります。誤って進入してしまった場合罰金を徴収される恐れがありますのでご注意の上走行してください」という注意書きまで掲載される状態となっていました。

 この問題は市道と私有地が混在したことが原因で発生しましたが、なぜこのような事態になったのでしょうか。

 そもそもシーサイド道路は1970年、近くにある鹿島臨海工業地帯へのアクセス道路として開通しました。

 その後1994年に男性が沿道の土地を購入して測量した結果、シーサイド道路の一部がその土地にかかっていることが判明します。

 これは神栖市になる前の旧波崎町がシーサイド道路を建設する際、建設地の中に私有地が含まれることを確認していなかったためと言われています。

 1996年には土地購入者の男性が旧波崎町を相手取り、土地の境界線確定を求めて裁判を起こした結果、2004年にはシーサイド道路上の私有地が男性のものと認定されました。

 裁判による判決後も旧波崎町や、市町村合併後の神栖市が地権者の男性と私有地の買い取りなどの話し合いを継続しますが、提示金額の条件が合わずに交渉は決裂。

 そして2006年10月には男性が強硬手段として私有地付近の道路上にバリケードを設置し、通行を制限するようになったのです。

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