トヨタ「アルファード」人気で激化する「高級ミニバン競争」 レクサスと異なる中華勢の戦略は? 市場の現状はいかに
見た目はアルファードを意識!? 中国で続々発表される「高級ミニバン」とは
その中でも大きく注目されているのが、広州汽車の「トランプチ E9」です。
トヨタの中国における合弁相手としてもよく知られている広州汽車は自社ブランドにも力を入れており、そのひとつが「トランプチ(傳祺)」となります。
トランプチでは2017年に初めてのミニバン「M8(旧称:GM8)」を発表し、ミニバン市場へ参戦を表明しました。
その後、より小型の「M6(旧称:GM6)」の投入や、2022年のフルモデルチェンジを経て現在に至ります。
フルモデルチェンジで2代目へと移行したM8では先代同様の2リッターターボモデルに加え、トヨタ開発のハイブリッドシステム「THS-II」を搭載するハイブリッドモデルも用意しており、一気に電動化への舵を切った形となります。
そのM8をベースに、いわゆる「新能源車(中国語で新エネルギー車の意味)」に仕立て上げたのが、今回発表された「E9」です。
中国では純電動のバッテリーEV(BEV)だけでなく、プラグインハイブリッド車(PHEV)や燃料電池車(FCV)も「新能源車」に分類されます。
E9のパワートレインはM8にも搭載されている自社開発の2リッター直列4気筒エンジンをPHEV向けに最適化したものが基軸となります。
そこに、中国メーカーの間で採用が増えている「DHT」と呼ばれるハイブリッド向けトランスミッション、出力133kWの電動モーター、そして容量25kWhの「マガジンバッテリー」を組み合わせ、E9のパワートレインシステムを作り上げました。
マガジンバッテリーは広州汽車独自開発の新バッテリーで、その名の通り、「マガジン(弾倉)」形状のセルをひとつのパックに敷き詰めた形式の三元系リチウムイオンバッテリーです。
航続距離は中国独自のCLTC方式でバッテリーのみが106 km、総合して1032 kmとなります。
大きくわけて3種類のモデルが用意されるとのことですが、価格は33万元(邦貨換算:約638万4000円)から39万元(約754万4000円)の間とリーゾナブルな価格設定です。
もちろんレクサスLMと比較すると装備の違いなどが出てきますが、高級ミニバン、それもPHEVモデルが用意されているという点を考慮すると、かなり強い競合相手になる可能性はあります。
また、SUV市場では最大手となる「長城汽車」も初のミニバンを発表しました。
長城汽車は2016年よりプレミアムブランド「WEY」を展開していますが、今までのラインナップはすべてSUVとなっていました。
今回発表された「高山」は同ブランドだけでなく、同社初の高級ミニバンとなり、このように続々と高級ミニバンをリリースする中国メーカーが現れているのがわかります。
WEYの高山もトランプチE9と同じくPHEVです。全長5045mm×全幅1960mm×全高1900mm、ホイールベースは3085mmと、余裕の大空間を誇る車体には1.5リッターターボエンジンをベースとするシステムを搭載。
このエンジンを用いたPHEVモデルはすでに販売されているWEYのSUVなどにも搭載しているため、パワートレイン自体の真新しさはありません。
ですが、それをミニバンに搭載させ、加熱の一途をたどるミニバン市場へ殴り込みをかけるという点では、非常に注目すべき1台になりそうです。
また先述のトランプチE9では、よりパワーのある2リッターターボエンジンをベースにしており、この部分ではE9のほうが優位に立っていると言えるかもしれません。
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