なぜ「コンビニワープ」は取り締まらない? 過去には死亡事故も… 危険ショートカットはどんな道交法に該当するのか
痛ましい事故を起こさないためのコンビニワープの対応策とは?
では、こうした危険行為は、どのような違反行為に該当するのでしょうか。また、実際に取り締まりは行っているのでしょうか。
首都圏の警察署の担当者は、コンビニワープについて以下のように話します。
「コンビニやガソリンスタンドの駐車場は基本的には道路ではなく私有地の扱いになることから、基本的には道路交通法で取り締まることができるとは言い切れないのが実情です。
状況によりますが、道路交通法の『安全運転義務違反』や『一時停止義務違反』で取り締まる場合や、刑法の『建造物侵入罪』に該当する可能性もあります」
「安全運転の義務」については、道路交通法第70条で以下のように説明されています。
「車両等の運転者は、当該車両のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通および当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」
安全運転義務違反に該当する場合は、違反点数2点、普通車の場合は反則金として9000円が科されます。

そのほか、コンビニワープするために歩道などを横断するとき、一時停止せず歩行者の通行を妨げた場合は道路交通法第43条に抵触し、2万円以下の罰金または科料(1000円以上1万円未満)の罰則が設けられています。
さらに前述の通り、本来コンビニの駐車場は買い物などの利用者のための場所であるため、コンビニワープの目的で侵入してきた場合は、刑法第130条「住居侵入等」に該当する可能性もあります。
これに該当する場合は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科される可能性があります。
もちろん、人身事故が発生した場合は、私有地である駐車場内であろうと刑法上の責任が問われ、人をはねた場合は自動車過失運転致死傷罪となり、7年以下の懲役または禁固もしくは100万円以下の罰金が適用されます。
つまり、コンビニワープを直接取り締まる法律はないものの、この行為は法律に触れる可能性があるということがわかります。
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実際に、2020年3月には、大分県宇佐市の飲食店の駐車場で3歳の女児が走ってきた軽トラックにはねられて死亡したという事故が発生しています。
軽トラックの運転手は、赤信号待ちを避けるため近道しようとして駐車場に侵入してきたと話しています。
こうした「コンビニワープ」による痛ましい事故を引き起こさないためにも、ドライバーひとりひとりが今一度交通ルールを再認識し、改めて安全運転を心がける必要があります。
Writer: Peacock Blue K.K.
東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。












