もはや懐かしい! “高級車”の象徴「フードマスコット」なぜなくなった!? ちゃんとした”機能部品”だったってホント?
高級セダンなどで、ボンネットの前方中央部分につける「フードマスコット」が採用されていました。2023年現在新車で採用されているクルマはほとんどなくなってしまいましたが、このフードマスコットはどのような起源を持つ装備で、なぜなくなってしまったのでしょうか。
高級感あるフードマスコット、なぜなくなった?
かつて多くの高級セダンなどでは、ボンネットの前方中央部分につける「フードマスコット」「フードオーナメント」「ボンネットマスコット」などと呼ばれる“飾り”(以下フードマスコット)が採用されていました。
多くの場合は、メーカーや車種を示すエンブレムの形状で、良く目立ようにメッキ装飾としていました。
しかし、いつの間にか高級車でも設定のないクルマが増えてしまい、すっかり“懐かしの装備”の部類になってしまいました。
ボンネットの先端に取り付けられた、立体的な装飾品をフードマスコットと呼びます。
メーカーや車名にちなんだキャラクター、メーカーを象徴するマークなどのさまざまな形状のものがあります。
取り付け位置と相まって、フードマスコットを装着しているクルマのみならず、フードマスコット自体も、非常に目立つ存在です。
また、フードマスコットが装着されているだけで高級車をイメージする人も多いかもしれません。ところが、近年では装着しなくなる高級車も増えています。
もはやクルマのパーツの中では、やや“懐かしい”装備の部類になってしまっています。
なお、フードマスコットに似たものとして、平面的にフードに取り付けられたフードエンブレムもありますが、今回は立体的なフードマスコットを取り扱います。
フードマスコットの起源は、ドライバーがラジエターの冷却水温度を確認するための、ラジエーターと一体となった棒状の部品であったとの説があります。
メーターにエンジン水温計が装着されなかった時代に、ドライバーがエンジンフードを開けなくてもエンジン温度を調べるための機能部品だったのです。電気回路がわずかしかなかった時代にもクルマはありましたから、十分信用できる説です。
この説が正しければ、フードマスコットは、機能部品だったこの棒をデザインし、クルマを飾る部品となっていったのでしょう。
また、クルマのスタイルには常に流行があります。1950年代初め頃までの、特にアメリカのクルマは、エンジンの全高が高く、エンジンを収めるエンジンフードの中央部分が盛り上がっていました。
そこに丸形のヘッドライトを左右に装着するのですから、クルマを前から見るとエンジンフードの左右と中央3か所の盛り上がり部分が見えます。
その中央部分が単なるフードパネルだと、デザイン的にまとまりが良くなかったのでしょう。そのためフードマスコットを装着し、デザイン上も引き締まるようにしていたと考えられます。
1960年代になってくると、エンジンフードとフロンドフェンダーの段差がなくなり、上面を平らにしたフラットデッキスタイルが流行ります。
この頃になってくると、デザイン上でもフードマスコットの必要性が薄れたためか、装着しなくなるクルマも増えていきました。
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