かつての人気車「今」どうなってる? “絶対王者”が入れ替わり!? ライバルを圧倒したヒット車の現在地

軽・コンパクトの人気車の「現在地」

●スズキ「ワゴンR」

 今ではトールワゴンは軽自動車の定番ともいえるボディスタイルですが、スズキ初代「ワゴンR」が登場した1993年当時は3ドアまたは5ドアのハッチバックが主流でした。

 軽ワンボックスにはまだ乗用車登録モデルが存在しない時代で、販売されていたのは商用車のみ。乗り心地や使い勝手の面で一般ユースには少々ハードルの高い存在だったといわざるを得ませんでした。

 そんな時代にハッチバックのプラットフォームにワンボックスのように背の高いボディを与え、乗り心地と居住性を両立させたワゴンRが登場したのですから人気にならないわけがありません。

 なかでも評価が高かったのが、道具然としたシンプルなスタイリングです。当時はRVブームが加熱していた時期でゴツいクルマが多かったこともあり、マーケットは食傷気味だったのか、逆に「こういうのでいいんだよ」とばかりに大いに支持されました。

2022年8月のマイチェンでデビューしたスズキ「ワゴンR カスタムZ」(6代目)
2022年8月のマイチェンでデビューしたスズキ「ワゴンR カスタムZ」(6代目)

 軽自動車もエンジンのDOHC化や過給機搭載、4速AT採用など高性能化が進んでいた当時、3気筒SOHCのノンターボ、ATも3段というごく一般的なスペックで登場したにもかかわらず、大量のバックオーダーを抱えるほど人気を得ます。後にターボモデルなどの追加もあり、最終的に5年のモデルライフで90万台を販売するという大成功を収めました。

 2代目も3代目も好調で2008年には累計販売台数300万台を達成。4代目は少し苦戦するものの、それでも4年で約75万台と上々でしたが、大苦戦となったのが2012年に登場した5代目モデルです。

 前年(2011年)に登場したホンダ「N-BOX」を筆頭に、軽自動車の主流がスーパーハイトワゴンへと移り変わり、トールワゴンのセールスはライバルも含めて低下。2017年に登場した現行型(6代目)は機能面で話題性はあったのですが、かつての勢いを取り戻すには至りませんでした。

 2020年には軽自動車の年間販売台数ランキングで9位につけており、ワゴンRもいよいよ終わりかと思われましたが、2021年に派生車種の「ワゴンRスマイル」を発売すると、これがヒット。2021年10月の月間販売台数でおよそ7年ぶりに首位を奪還しました。

 また、最新の2022年の軽の年間ランキングでも5位につけるなど、復活を遂げています。

●ホンダ「フィット」

 ホンダ「フィット」はそれまでの「ロゴ」に代わるコンパクトカーとして、2001年に初代モデルが登場しました。

 ホイールベースを長く取り、全高を高くすることでクラスを超えた広大な居住空間を確保。燃料タンクをフロントシート下に配置する独自の「センタータンクレイアウト」を採用し、多彩なシートアレンジと低床のラゲッジを実現しています。

 高効率な1.3リッターエンジンとCVTの組み合わせは必要十分な動力性能と好燃費を両立。ショートノーズで塊感のあるスタイリングは男女を問わず支持され、発売と同時に大量のバックオーダーを抱える人気車になり、2002年に初代フィットはホンダ車として初めて年間販売台数ランキング1位に輝いたのです。

 2007年に2代目へと移行した後もセールスは順調で、2010年にはハイブリッドモデルを投入し磐石の体制に。2013年に登場した3代目は年間1位こそ取れませんでしたが、月間ランキングではトップ3の常連で順調に販売台数を上積みしていきました。

 ところが、2020年に満を持して登場した4代目が苦戦しているのです。その理由は、3代目まででクルマとして完成してしまっていたからとも、同門のN-BOXが良くできすぎていて顧客が流れてしまったともいわれています。

 コンパクトカーのライバル車種では2022年首位だったトヨタ「ヤリス」は派生車種の「ヤリスクロス」なども含む数字なので、実際にはそこまで差はないのですが、3位の日産「ノート」には大差をつけられているのが現状です。

※ ※ ※

 ここで紹介したなかには再びスマッシュヒットとなり復活を遂げたケースもある一方で、厳しい状況にあるクルマもあります。

 といっても、車名が残っているだけまだ良くて、後継車が登場することなく絶版になってしまった人気車も少なくありません。

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1件のコメント

  1. ノートもノートオーラとの合算だけどね

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