飲酒後「ひと眠り」したら車の運転OK? 実際は翌朝もミス3倍 「寝たから大丈夫というわけではない」理由とは

前夜の飲酒は、クルマの運転にどのような影響をもたらすのでしょうか。JAFは、飲酒が運転に与える影響を検証し、その結果を公表しました。

一晩寝れば大丈夫なのか?

 飲酒はクルマの運転にどのような影響を与えるのでしょうか。また、アルコールを抜くためにひと眠りすれば、クルマの運転は問題ないのでしょうか。

 JAF(日本自動車連盟)は2023年4月7日、このような飲酒が運転に与える影響について検証した結果を公表しました。

アルコールを抜くためにひと眠りすれば、クルマの運転は問題ない?(イメージ)
アルコールを抜くためにひと眠りすれば、クルマの運転は問題ない?(イメージ)

 2021年6月、千葉県八街市で飲酒運転のトラックが子どもたちをはねる事故がありました。飲酒に起因する交通事故は後を絶たず、2022年の道路交通法改正では、事業者の安全運転管理者に対してアルコールチェックが義務付けられるなど、規制強化が進んでいます。

 しかし一方で「飲酒したけど、数時間たって酔いがさめたからOK」「一晩寝たから大丈夫」と思っているドライバーもいるかもしれません。

 そこでJAFは2022年11月、30~40代の被験者6人の参加のもと、飲酒前と直後、翌朝(飲酒開始から10時間後)の運転操作を運転シミュレーターを使って検証しました。

 結果、飲酒直後はハンドル操作が雑になり、壁にぶつかったり、まっすぐ走れなかったりしたといいます。また、アクセルをうまく踏めずに急加速したり、ブレーキ操作も雑に。そのため確認や判断ミスが多くなり、事故を起こす人もいたそうです。

 翌朝も操作ミスや確認・判断ミスが増加。「呼気濃度は出なかったが、体にだるさが残っている。運転もいつもよりパフォーマンスが落ちている感じがあった」という意見があったといいます。

 操作・判断ミスの回数は、飲酒前(11回)と比べて飲酒食後は約4倍(41回)、翌朝も約3倍(30回)に増加していました。

 飲酒は、視覚機能にも悪影響を及ぼしています。

 眼球の動きを記録する装置を使って、ドライバーが歩行者や自転車、対向車などを視認しているか、首を振って注視をしているか、危険な運転操作や対応できていなかったかを検証しました。

 結果、飲酒直後も翌朝も、左右やミラーの確認が疎かになり、前方の狭い範囲の確認となったため、死角から飛び出してきた子どもや自転車とぶつかりそうになったり、事故に発展したりしたといいます。

 JAFは、「『お酒に強いから大丈夫』『短い距離なら事故なんてしない』ではなく、お酒を飲んだら絶対に運転はしてはいけない」と警告。

 また、飲酒の影響は翌日まで続く可能性があることから、飲酒翌日にアルコールが検出されなくても、眠気や体のだるさが残っていたり体調が優れない場合は運転を控え、公共交通機関や運転代行などの利用を推奨しています。

 そして周りの人たちは、これから運転する人に飲酒を勧めない、飲酒した人に運転させないことも重要であるとしています。

 久里浜医療センターの名誉院長で、アルコール関連問題予防研究会代表を務める樋口進氏は、「ひと眠りするとすっきりしたように感じるが、睡眠中はアルコールの分解速度が遅くなるので、寝たから大丈夫というわけではない」と指摘しています。

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