免許返納後に死亡事故!? それでも「無免許に当たらない」理由は? 「公道」の基準とは
福岡県福岡市博多区にある寺の駐車場において運転免許を2年前に返納済みの82歳男性がクルマを運転し、81歳の女性をはねる死亡事故が2023年3月5日に発生しました。この件に関して、警察は「公道ではなく、無免許運転には当たらない」という見解を発表しましたが、一体どのような場所が公道と呼べるのでしょうか。
私有地なら無免許で運転できるの?
2023年3月5日、運転免許を返納済みの男性が寺の敷地内でクルマを運転し、女性を死亡させた事故が発生しました。
この件に関して、警察は「公道ではなく、無免許運転には当たらない」という見解を発表しましたが、一体どのような場所が公道と呼べるのでしょうか。
福岡県福岡市博多区にある寺の駐車場において運転免許を2年前に返納済みの82歳男性がクルマを運転し、81歳の女性をはねる死亡事故が発生しました。
寺までは男性の妻が運転しており、警察は男性を無免許運転ではなく自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで現行犯逮捕しました。
この事故に関して警察は「公道ではなく無免許運転には当たらない」という見解を発表しています。
このニュースに対してはSNS上で「公道以外は無免許運転が適用されないなんて知らなかった」という驚きの声や「他のクルマが出入りできる状況なら無免許運転になったのかな?」などの疑問が寄せられています。
今回の事故では、警察が寺の駐車場を公道ではないと判断しているものの、場合によっては駐車場のような私有地であっても道路とみなされるケースがあります。
では、道路とは一体どのような場所を指すのでしょうか。
道路交通法第2条第1項第1号において、道路とは「道路法第2条第1項に規定する道路、道路運送法第2条第8項に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう。(条文を一部抜粋)」と規定されています。
つまり道路とは、道路法で定める高速道路や国道、都道府県道、市町村道、トンネルや橋など道路と一体になっている施設のほか、道路運送法で定める自動車道、そして一般交通の用に供するその他の場所のことをいいます。
一般的に、道路法や道路運送法で規定された道路は「公道」と呼ばれています。
「一般交通の用に供するその他の場所」とは公道以外の道路であり、不特定多数の人やクルマが自由に通行できる状態で、なおかつ繰り返し通行に使用されている場所のことをいいます。
具体例としては住宅街の私道や、一般交通のために開放され通行のために使用されている広場、公園内の通路、学校構内の通路、神社仏閣の境内などがあげられます。
過去の裁判では、多くの客が行き来するラーメン店やコンビニ店舗の駐車場を道路と認めた一方、特定の契約者だけが利用する月極駐車場を道路と認めなかった事例もあり、「不特定多数の者が自由に通行できる状態かどうか」という点が判断基準となるようです。
また、道路とみなされるような私有地であっても、管理者がその場所を閉鎖した場合には道路ではなくなるため、その時々の状況によって道路と判断されるかどうかが変わるといえるでしょう。
今回、死亡事故が発生した寺の駐車場について詳細な状況は分からないものの、駐車場を利用する人が一定の範囲内に限られているなどの理由で道路とみなされず、無免許運転には当たらないと判断された可能性があります。
この事故の教訓として運転免許を返納した人や運転免許を取得していない人については、たとえ私有地であっても安易に運転をしてはいけないということがいえるでしょう。
前述のように駐車場が道路とみなされれば、私有地であっても無免許運転にならないとは言い切れません。
そして高齢を理由に免許を返納した後で運転をした場合には、認知機能や反応速度の低下などにより大きな事故につながる危険性もあります。
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道路には、私たちが一般的にイメージする高速道路や国道などの公道だけではなく、不特定多数のクルマや人が通行する駐車場なども含まれます。
私有地であっても無免許運転に該当するケースがあるほか、事故が起きる可能性もあるため、「ちょっと乗るだけだから大丈夫」という認識を持たないことが重要です。
詰めが甘い記事だ。自ら「神社仏閣の境内がなどが「一般交通の用に供するその他の場所」」としておきながら、なぜ寺の境内が無免許と成らなかったかの記載がない。