駐車場に「傾き」あると車に影響アリ? ボディに「歪み」やオイルの「偏り」起こる? 整備士に聞いた
傾斜がついている駐車場にクルマを停めていると、クルマへどのような影響をもたらすのでしょうか。
傾斜地への駐車はNG? 自動車整備士に聞いてみた!
駐車場を探す時に坂になっていると、クルマを停めるのを戸惑う人もいるかもしれません。
では、実際に傾斜地で駐車をするとクルマに悪影響はあるのでしょうか。
クルマを保管するための駐車場は様々です。駐車のしやすさという面でも、やはり平面であることが理想的と言えますが、必ずしもそうとは限らないのが現実です。
しかし、駐車場に傾斜がついている場合、保管するクルマにとっての影響を気にする人もいるかもしれません。これについて、自動車整備士は以下のように話します。
「一般的にクルマを傾斜面に駐車することで、悪影響を与えるといわれているのは事実です。お客さまからもたまに質問されることもあり、愛車を長く乗りたい方などは、特に気にしているポイントではないでしょうか」
しばしば聞かれるのが、クルマを傾斜地に駐車するとボディに歪みが発生するということです。
クルマにもよりますが、特に旧車であれば坂道などでクルマを停めた際にドアやトランクの開閉が若干鈍くなってしまったりするケースもあります。
しかし、実はほとんどのケースでボディには影響がないとも話します。
「クルマのボディが歪んでしまうというのは、かなりの角度がない限り考え難いですね。一部の旧車では、前輪か後輪のいずれかをジャッキアップした際にボディがたわんでドアの開閉がしづらくなるケースはありました。
ですが、自宅の駐車場が少し盛り上がっている場合や、道路に向かって少し角度がついている程度であれば、まずボディが歪んでしまうことはないでしょう」
急斜面などよほどの大きな角度がついていない限りは、クルマのボディが歪んでしまうことは考えにくいようです。
では、タイヤには悪影響を及ぼすのでしょうか。
「タイヤの接地面が変形してしまうケースも事例としては起こり得ることです。しかし、またこれも前述の通り、よほどの急斜面でない限り、大きく変形してしまうことはないと考えます。
さらに、毎日クルマを運転する方であれば走行することで馴染んでくるため、タイヤが変形してしまう可能性は限りなく低くなります。長年放置していなければ、走行に支障が出るほど変形する恐れはありません」
このように、ボディとタイヤについては特に気にかける必要はないようですが、エンジンやトランスミッションなど、流動性のあるオイルを使用するパーツ・機構には、オイルが行き届かないという可能性はあるのでしょうか。
「エンジンオイルは人間で言う血液と同じくらい重要なもので、潤滑や冷却、密閉、洗浄など7つの役割を持っており、パーツに正しく行き届くことはとても大切です。
ですが、適切な時期での交換などオイル管理が行き届いていれば、適正量であることが多いため、傾斜地でオイルが循環しなくなるということはないでしょう」(先出の整備士)
このようによほどの急斜面でない限り、多少の傾斜がある場所でクルマを駐車しても影響はないようで、日常的にクルマを使う人であれば、なおさら気にかける必要はないようです。
しかし、先出の整備士は可能な限り平面で探したほうが良いとも言います。
「もちろん傾斜地で保管することは望ましくはないのは事実です。やはり平面な場所での保管と比べると、クルマの前後左右で足回りなどに偏りが発生することは避けられません。
特に、重量を支えるゴムパーツなどは長い目で見ると劣化具合にも差が発生していることを否定できないので、気にする方であれば、平面の保管場所を探すことを推奨します」
※ ※ ※
モータースポーツでは、サーキットに備えられているメンテナンスの拠点となるピットガレージは、地面が平面になるように設計されています。
これは、マシンのアライメント(サスペンションなどの取付角)を取る際に傾いていると適切な値が出ないため、そのままで走行した場合クルマのパフォーマンスが走行タイムに大幅な影響を及ぼすからです。
このことも示すように愛車を大切に保管したいユーザーは、できるだけ平面な駐車場で保管するほうが望ましいと言えます。
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