トヨタの高級ミニバン「アルファード」は、迫力のあるデザインや高級感を高めた内装を採用し、大人数でも快適に乗れる広い室内が特徴の人気車種です。
　
　そんなアルファードと並ぶ人気を誇った兄弟車「ヴェルファイア」でしたが、現在はラインナップが大幅に縮小しています。次期型の登場を求める声も多いなか、ヴェルファイアはどうなるのでしょうか。

　アルファードは2002年に初代が登場。従来のミニバンで主流だったFR（後輪駆動）レイアウトではなく、FF（前輪駆動）を採用することで低いフロアと高い室内高を実現し、ライバル車である日産「エルグランド」とともに高級ミニバン市場を拡大させました。

　2008年には2代目となり、上品で洗練されたデザインへと進化したほか、鋭さや力強さをテーマに取り入れた兄弟車のヴェルファイアがラインナップに加わりました。この当時トヨタで4つあった販売店チャンネルのうち、アルファードはトヨペット店、ヴェルファイアはネッツ店の各専売モデルとなりました。

　現行型は3代目となり2015年1月に発売。「大空間高級サルーン」をキーワードとして掲げ、高級感のある内外装はさらに迫力を増したほか、新開発サスペンションや静粛性能を向上。

　加えてプリクラッシュブレーキやパノラミックビューモニターを設定するなど、安全性能も向上させています。

　そんな「アルヴェル」兄弟ですが、登場当初、実はヴェルファイアのほうが人気でした。2代目アルファード・初代ヴェルファイアの発売から1ヶ月の受注台数では、アルファードが約1万6000台であったのに対し、ヴェルファイアは約2万台を記録していたのです。

　自販連（自動車販売協会連合会）調べによる販売データでは、発売翌年の2009年、アルファードの年間販売台数が2万9602台だったのに対し、ヴェルファイアは4万9636台と大きく上回っていました。

　現行型の3代目で自販連の年間販売台数ランキングを見ると、2015年の登場時から2017年にかけて、両車ともにトップ30位以内をキープしていますが、ヴェルファイアの方がやや上回る結果となっています。

　ところが、2017年のマイナーチェンジでフロントフェイスの刷新が行われると、その人気ぶりにも変化が生じます。

　アルファードはメッキ加飾の面積が拡大し、フロントグリルの印象がより強くなり堂々としたスタイリングを実現。ヴェルファイアも同様に新デザインを採用し、こちらも派手さを増しましたが、これがやや好みを分ける結果となったようです。

　マイナーチェンジ後、2018年の年間販売台数ランキングをみると、ヴェルファイアはアルファードに越されます。

　以後アルファードが順位を順調に伸ばしていったのに対し、ヴェルファイアの販売台数は低下。さらに2020年5月には、それまで4チャンネルあったトヨタの販売店が実質統合され、全車種が全店舗で扱えるように変更されたことも相まって、アルファード人気が加速する結果に。

さらに2021年4月の一部改良でヴェルファイアのラインナップが大幅整理され、特別仕様車のみの設定に縮小。その結果、ヴェルファイアは2021年の年間ランキングトップ50位から姿を消しています。

　2023年3月現在、ヴェルファイアは特別仕様車「ゴールデンアイズ III」のみが残り、事実上アルファードに統合されている状態となっています。

　一方、2023年に入ると現行登場から8年が経過したことから、次期型の登場を求める声も多く上がっています。

　一般的に、近年の国産車では登場からフルモデルチェンジまで4年から5年、長くても6年から7年に一度行われることを考慮すると、そろそろ次期型アルファード・ヴェルファイアが登場しても不思議ではない時期です。

　現行型マイナーチェンジ後に両車の間で販売台数に大きく差が開いてしまったことを考えると、最初からヴェルファイアをラインナップしないか、あるいは2代目のように全く性質の異なったデザインを採用するという2つの方法が考えられます。

　新型アルファードについて、トヨタから公式なアナウンスはありませんが、仮に新型が登場した場合、現在人気が低下してしまった状態のヴェルファイアが登場するのか、またどのように扱われるかについても注目が集まります。