国産セダンが相次いで廃止! 日産・ホンダは1車種のみ!? セダンがサッパリ売れなくなった訳
セダンのメリットって一体何?
セダンの低迷にはクルマの価格上昇も影響を与えているでしょう。
現在のクルマの価格は、2005年頃と比べておおむね1.2倍から1.4倍に上がりました。それでも、安全装備や運転支援機能は価格上昇を上回る水準で充実しており、今の新車は以前よりも買い得になったともいえますが、かつてより大幅に値上げされたことも事実です。
アコードを例にすると、2005年当時は「20A」が203万7000円、最上級の「ユーロR」でも265万6500円でしたが、2023年1月に終了した従来型はe:HEV(ハイブリッド)の搭載もあって465万円でした。

2005年のユーロRと比べても、直近のアコードは1.4倍どころか1.8倍まで値上げされており、セダンは海外志向を強めて大幅に価格が上昇したことから需要を衰退させたといえます。
クルマの価格が上昇する一方で所得は伸び悩んでおり、新車に乗り替える時はサイズを小さくするユーザーが増加。
一般的にクルマを選ぶ際、ファミリー層を中心に、予算を漠然と200万円にすることが多く、現在販売ランキングの上位に入る軽自動車やコンパクトな車種は170万円から200万円前後で販売されています。
ホンダ「N-BOXカスタムL」が178万9700円、トヨタ「ルーミーカスタムG」が192万4000円、トヨタ「ヤリス1.5Z」が200万8000円という具合なのですが、2005年頃には200万円前後の価格帯でさまざまなセダンが選べました。
価格面から捉えてみても、かつてファミリーカーとして使われていたトヨタ「プレミオ」や日産「プリメーラ」といったミドルサイズセダンが、今は軽自動車とコンパクトな車種に置き換わり、人気車になったのです。
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さまざまな理由によって消滅に向かっているセダンにも、もちろんメリットもあります。それは、重心が低く、なおかつ居住空間とトランクスペースの間に隔壁が設置されるため、ボディ剛性を高めやすいことです。
セダンは背の高いSUVなどに比べると、危険回避を含めて走行安定性が優れています。前後左右に振られにくいため、乗り心地も快適です。
トランクスペースのなかには後輪が収まるホイールハウスがあり、居住空間と区分されるため、後輪が路上を転がる時に発する騒音も遮断しやすいです。
セダンは「安心と快適」が優れているため、高速で長距離を頻繁に移動する欧州車には、今でもセダンが多いのです。
メルセデス・ベンツやBMWのほか、レクサスに3車種のセダンが用意されるは、安心と快適を重視しているからでしょう。
同じ予算であれば、トヨタ「ハリアー」やマツダ「CX-60」のような高級SUVを検討するのも良いですが、輸入車を含めてセダンも試乗してみると、忘れていたセダンの良さを思い出すことができるかもしれません。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。




































