まもなく開幕! スーパー耐久で「いっしょにいいクルマつくろう!」 2年目の変化と進化はいかに
28号車「ORC ROOKIE GR86 CNF concept」と、61号車「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」はどう変わったのか?
では28号車「ORC ROOKIE GR86 CNF concept」と、61号車「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」の進化はどうでしょうか。
28号車「ORC ROOKIE GR86 CNF concept」に関しては、2022年の最終戦(鈴鹿)で元GRカンパニープレジデントの佐藤恒治氏は「来シーズンは骨格を変えます!」と言う爆弾発言がありました。
2023年2月23日にあった公式テストにおいて、マシンの状態は2022年と大きな変更はなさそうです。
2023年シーズンは将来に向けた新骨格の諸元を決めていくフェイズで、恐らくどこかのタイミングでガラッと変わる可能性があります。
しかし、現時点では「何を変える必要があるのか?」を見極めるためにも「現状をシッカリと理解する」と言う考えなのでしょう。
2023年の最終戦(鈴鹿)でのレース後、ドライバーから「マシンはレースを重ねるごとに改善されていきましたが、課題は山積み」と言うコメントがありました。
この課題とは「速さはあるが、乗りにくい」でり、2023年は現状のパッケージでこの課題を克服、最適解を出す必要があるわけです。
一方、61号車「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」の進化はどうでしょうか。
公式テストに現れたマシンはフロント周りが暫定仕様のように見えますが、2022年と大きな変更はなさそうです。
エンジニアに話を聞くと「シーズンオフに2022年やってきたことを振り返り、いい所は伸ばす/良くなかった所は改善すると言う考え方……つまり熟成方向です」と教えてくれました。
2022年シリーズは第3戦(菅生)以降「速さ」にこだわっていましたが、それが故にプロドライバーと社員ドライバーのタイム差が広がってしまったそうです。
SUBARUが目指す理想の走りは、「誰が乗っても乗りやすく、速い」ですが、それに至らなかった反省を今シーズンは熟成方向で活かしていくと言う事なのでしょう。
ちなみにTeam SDA Engineeringのピットに2022年はいなかった緑色のウェアを着たサスペンションメーカー・テインのエンジニアが帯同しているなど、サプライヤーも含めた人の関わりの部分では着々と変化しているようです。
※ ※ ※
このように2つのチームを見ていくと各々の課題はありますが、最終的に目指すべき所は同じである事がよく解ります。
ちなみに2023年はレース毎に“種明かし”をシッカリとやる計画もあるそうです。
要するに相手のマシンと差が出た時、推測ではなく手の内を明かせば、「あぁ、そういう事か」と新たな気づきやイノベーションが生まれ、結果的にもっといいクルマづくりの近道になってくれるはずです。
そういう意味では、2023年の勝負は今まで以上に「開発」の意味合いがより強くなるかもしれません。
そして、開幕戦から静かだけど激しい戦いが起きそうな予感です。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。