相撲業界のルール! 「現役力士は車の運転禁止」ってホント? 禁止された理由とは?
日本の伝統的なスポーツである相撲ですが、実は現役の力士は運転が禁止されているといいます。これは一体なぜなのでしょうか。
現役力士は運転禁止!? 一体なぜ?
日本の国技として長い歴史を誇る相撲ですが、「現役の力士は運転が禁止」という話が聞かれます。果たしてこれは本当なのでしょうか。
相撲は日本を代表する伝統的なスポーツであり、大柄な力士の迫力ある勝負はもちろん、化粧まわしや髷(まげ)、着物といった日本特有の文化を味わえるため海外からも人気を集めています。
日本の国技ということもあり、力士になるためには年齢や身長、体重、健康状態などの制限があるほか、一人前の力士になるため厳しい稽古や生活をしなければいけません。
そんな力士について、「現役の力士はクルマの運転が禁止されている」という話が聞かれます。
これについてSNSでは「なんで力士って運転禁止なんだろう」と疑問の声や、「体が大きくてシートベルトができないからなのか?」「座席が小さいからクルマに乗れないとか?」など理由を分析する声が上がっています。
では、現役力士がクルマを運転できないというのは本当なのでしょうか。これについて、日本相撲協会に問い合わせたところ、広報担当者は以下のように回答します。
「現役時代は運転禁止となっています。また免許の取得に関しては師匠確認のもと可能です」
現役力士の運転が禁止となっているのは事実のようですが、運転が禁止されている詳細について、協会からの回答が得られませんでした。
とはいえ、禁止された理由のひとつとして、「交通事故の再発防止」が挙げられるようです。
1985年に当時の現役力士がクルマを運転中に追突事故を起こして怪我をするなどの事態が相次いで発生したことがきっかけとなり、日本相撲協会が現役力士のクルマの運転を原則禁止としたとされています。
その後も1999年に力士の運転するクルマとオートバイの衝突事故が発生したほか、2000年、2007年にも相次いで事故が発生しており、現在も力士の運転禁止が解かれていません。
現役力士に一律クルマの運転を禁止することは厳しい措置のように感じられますが、相撲は世界に誇る日本の国技であり、力士にも高いモラルが求められるため日本相撲協会が厳格なルールを設けているといえるでしょう。
なお、力士の体が大きくてシートベルトが装着できない、座席が狭くなるため運転ができないといった身体上の都合ではないといえます。
このほか、前出の担当者は「引退後に関してはクルマの運転は可能です。交通手段に関しては、力士以外が運転するクルマでの移動や公共交通機関を利用しています」と回答しています。
引退して親方となった力士などはクルマを運転できるようになります。
また、運転免許を取得すること自体は禁止されていないため、若手の頃や引退前などに次の就職を見据えて運転免許を取得する力士もいるようです。
移動手段に関しても、力士の移動手段はさまざまであり、タクシーや運転手付きのクルマのほか、バスをチャーターして移動するケースがあります。
また、地方巡業などで大勢の力士が新幹線を使うこともあり、その様子から「相撲列車」などと呼ばれています。
このように、過去に発生した交通事故がきっかけで現役力士はクルマの運転を禁止されていますが、公共交通機関やタクシーなどを上手く利用して移動を行っています。
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ちなみに、力士になるには、本場所前に行われている新弟子検査の基本となる資格として、義務教育を終了した健康な男子で、「身長167cm以上」「体重67kg以上」の基準を満たす必要があります。
また一般は23歳未満、日本相撲協会が指定している社会人や大学のアマチュア大会で一定の成績を残した人については25歳未満であることと決められています。
その後、所属したい部屋の師匠となる年寄(親方)を通じて、日本相撲協会に規定された必要な書類を添えて、力士検査届を提出。
さらに、日本相撲協会が指定する医師の健康診断ならびに新弟子検査に合格し、登録され、はじめて力士として認められるといいます。
こうした厳しい試練を乗り越えた力士は、日本には欠かせない唯一の職業であるといえます。
日本は、法令や政令で国技を定めてはいない。宮内庁から天皇杯を下賜されている武道は、大相撲、アマチュア相撲、柔道、剣道、弓道である。(Ja-Wikipedia)