個性が凄い「ハイラックス車中泊仕様」発表! 木目内装で快適移動… キャンピングカー市場の常識覆す「理想空間」とは

ある画期的なキャンピングカーが発表された!? トヨタ「ハイラックス」ベースのキャンピングカーとは

 そうした中でジャパンキャンピングカーショー2023の会場で、ある画期的なキャンピングカーが発表されました。

 ダイレクトカーズの「BR-75」です。

 ひと目で分かる通り、トヨタ「ハイラックス」をベースしています。この車両が画期的だというには、理由があります。

 まずハイラックスでありながら、キャブコンということ。

 従来、ピックアップトラックをベースにする場合、荷台にキャンパーシェルを積載する「トラックキャンパー(トラキャン)」が一般的な架装方法でした。

 トラキャンは車中泊をしない時にはシェルを降ろし、普通のトラックとして使えるというメリットがあります。しかし、BR-75はあえてキャブコンスタイルにしています。

 その理由について、ダイレクトカーズのスタッフは次のよう語ります。

「トラキャンのユーザーさんの声を聞くと、雨や雪など天候が悪い時に、車外に一度出てからではないと、居住スペースに入れないという不満がありました。

 キャブコンであれば、後席から直接エントリーできるのです」

ベースがトヨタ「ハイラックス」のため悪路走破性能も高いのも魅力と言える
ベースがトヨタ「ハイラックス」のため悪路走破性能も高いのも魅力と言える

 画期的な部分は、走行性能でも見られます。一般的なキャブコンに使用されるカムロードのベース車はトヨタの2tトラック「ダイナ」です。

 後輪をダブルタイヤにするなどの高速時の操縦安定性は図られていますが、キャブオーバーゆえの運転のしにくさがあります。

 それがハイラックスベースになったことで改善されています。さらに2.4リッターターボディーゼルエンジンの動力性能は十分で、車体の重量バランスも十分に考慮されています。キャンパーシェル搭載による重量増は約600kg。

 ただしハイラックスの最大積載量は500kgで、さらに荷台部分を切って架装しているため、荷重のキャパシティを超えていません。

 急激な姿勢変化には注意が必要ですが、キャピングカーということをあまり意識しないで走ることができます。

 加えて、ハイエースやカムロードでは四苦八苦したキャンプ場や河原などの未舗装地でも、BR75はラクに走ることができます。

 十分なロードクリアランス、強力は牽引力が得られるパートタイム4WDなど、ハイラックスならではの美点です。

 昨今は、高い悪路走破性を備えたスズキ「ジムニー」やトヨタ「ランドクルーザー」をオーバーランダーにするユーザーが増えていますが、快適なキャブコンなら車中泊やキャンプの経験が少ない人にもユーザーフレンドリーと言えます。

このBR-75は、キャンピングカー業界にとってはエポックメーキングなモデルです。既存のバンコンやキャブコンのスタイルが変わることはありませんが、今後はSUVなど様々な車種をベースにしたキャンピングカーの可能性を切り拓いたと言えるでしょう。

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Writer: 山崎友貴

自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。

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