ダイハツ「軽バン 車中泊」の人気はどう? 寝ること意識した軽キャンパー反響は? 重視されるポイントとは

ダイハツ「アトレー」が発売されてから1年以上が経ちましたが、現状ではどのような反響があるのでしょうか。

発売から1年以上…「アトレー」の現状は?

 2021年12月のデビュー直後から月販目標台数の約8倍の受注を記録し、一時は納期が3か月以上となったダイハツ「アトレー」。
 
 昨年の「ジャパンキャンピングカーショー2022」では、いち早く各社からキャンピングカー仕様が発売されるなど、レジャー派から注目を集めていました。では、1年経った現在ではどのような状況なのでしょうか。

ダイハツ「アトレー」 現状の反響はいかに
ダイハツ「アトレー」 現状の反響はいかに

 先代となる5代目アトレーは商用仕様がなく全車乗用仕様(アトレーワゴン)として販売されていましたが、6代目アトレーでは乗用仕様がなくなり、全車商用仕様としておよそ20年ぶり復活した形となります。

 ダイハツの調査によれば、アトレーなどの軽キャブワゴン・軽乗用バンにおける使用用途に「レジャー」と回答する人が2013年の28%から2017年の35%に増加傾向にあるようで、アトレーの開発担当者は「昨今はレジャーや車中泊などで、荷物を多く積むことや、車内の快適性という部分を意識して想定して開発しました」と説明しています。

 アトレーのターゲットは「中年の男性」だといい、その理由は「近年の車中泊需要」「新型コロナ禍でのテレワーク需要」などによるものだといいます。

 そうした背景もあり、6代目アトレーでは容量1275リッターという広い荷室を用意するほか、最大積載量は350kgを確保するなど、レジャー用品などの重い荷物も積載可能としています。

 さらに後席を倒した際の荷室スペースは、車中泊での快適性にも配慮されフラットな空間を実現し、テーブル固定可能なデッキサイドトリムやマルチフックなども用意することでより便利に使える空間となっています。

 また6代目アトレーは、全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)、LKC(レーンキープコントロール)などの運転負荷軽減機能や、ターボエンジンによる力強い走りなども高く評価されているようです。

 このような特徴を持つ6代目アトレーですが、デビューから約1年経った「ジャパンキャンピングカーショー2023」でも歴代を含めた数台のアトレーが展示され、相変わらずベース車両として高い人気を誇っています。

 アトレーがベースになっているのは「軽バンコン」といわれるカテゴリーで、車内にベッドや車中泊用家具がインストールされています。

 通常は1人から2人就寝用で、モデルによってはポップアップテントを装備。天高のある室内、そしてプラス2名就寝を可能にしています。

 軽バンコンのベース車両として使われているのはアトレーの他に、スズキ「エブリイ」、「スペーシア・ベース」、ダイハツ「ハイゼットカーゴ」、ホンダ「NーVAN」などです。

 フラットな床面、十分な荷室長が取れることから、アトレー発売以前はエブリイとハイゼットバンが2大巨頭となっていました。

 特にエブリイはハイゼットカーゴよりも若干、荷室長が長かったため、2022年4月まではキャンピングカーでも人気でした。

 ところが、4月にエブリイがマイナーチェンジを実施したことでターボモデルが廃止。これで、レジャーユース市場では勢力図が一変したのです。

 四国にあるキャンピングカービルダーのスタッフは、次のように語ります。

「現行型のハイゼットカーゴ、アトレーが登場した後も、しばらくエブリイはキャンピングカーのベース車両として人気がありました。しかし、ターボモデルが廃止になったことが大きかったですね」

 そこで一気に人気急上昇となったのが、アトレーです。

 アトレーは前述の通り6代目へとフルモデルチェンジしましたが、この際に軽5ナンバーワゴンから4ナンバーバンへと大きく舵を切りました。

 2名が快適に乗れて、後部は実用スペースとして使うというコンセプトに変わったのです。

 しかし、ハイゼットカーゴとは一線を画すハイクオリティな外装・内装、そして充実の安全装備は、ある意味でワゴン時代のアトレーを踏襲したものでした。

 前述のスタッフも、そこにアトレーが注目される要因があると言います。

「発売当初は我々も、アダプティブオートクルーズといった充実の安全装備がシルバーエイジに人気が出ると考えていました。

 実際、その部分でお問い合わせしてきたお客様もいます。

 しかしその後の動向を見ていると、やはりアトレーの商用バンとは違う見た目や内装、オートスライドドアやプッシュ式イグニッションといった機能性に着目している人が多いですね。

 そして、何よりターボモデルの設定が魅力のようです」

※ ※ ※

 スズキは、2023年度中に軽バンEVを発売する予定になっていますが、航続距離や社会インフラを考えると、果たしてレジャーユースに向いているかはまだ分かりません。

 相変わらずエブリイベースのキャンピングカーも人気はあるようですが、今後その勢力図がどう変わっていくのか、気になるところです。

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Writer: 山崎友貴

自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。

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1件のコメント

  1. でも、アトレー(ハイゼット)後席の窓の開閉がアレなんで軽キャンパーとしては厳しいんですよね。元々、余計なものが付くほどメンテの頻度や修理が嵩むのでターボは最初から眼中に無いです。依ってターボ廃止のエブリィで問題ありません。

    そういえば20年位前に乗ってたミニキャブ(軽バン)は後席窓がスライド式で、あれはあれで良かったです。最近のハイエースにも小さいですがそんな窓がありますよね。うちの会社にあるヤツを見ました。ハイゼットの後席窓をスライド式にしてくれたら換気扇などの装備も後付しやすいでしょう。

    今回はエブリィに乗り換えですが、後席窓は普通に手回しハンドル式で、全開不可だとか聞きますが1/3でも半分でも開けば十分です。リアのドアバイザーもあり、プラ段加工して網貼って窓に挟む網戸を作れば済むので雨+虫対策は非常に簡便で済みます。これは利点が非常に大きいところ。決定打はコレでした。

    窓の問題さえ無ければハイゼットを買っていたところですが、欲しかった2シーターは完全に後席窓ははめ殺しでしたね。一長一短があって今回は本当に悩みました。
    元々は商用車なので荷物を運ぶ。可能な限り装備を減らして販売価格を抑えるということは理解できますが、3割強も軽キャン目的の人が居るならば、オプションで後席窓は左右または両方を開放可能なタイプで選べるようにして欲しかったですね。
    CVTの信頼性に至ってはまだこれからですが、たった1点の不便で購入者が敬遠することもありますってことで。

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