車の「暖機運転」なぜ不要になった? 必要なケースもある? 愛車に優しい「走り方」とは
どんなに寒くても「暖機運転不要」? すぐに「全開加速」はOK?
クルマの性能が向上したことや、環境・騒音問題などの理由から、今のクルマでは「暖機運転」が不要とされています。
では、どのような状況であっても暖機運転が不要なのでしょうか。
前出の整備士は暖機運転を行ったほうが良いケースについて以下のように話します。
「暖機運転は不要とは言っても、氷点下10度を下回るような極寒冷地では、エンジンルーム内の温度も非常に低温になっていることもあり、パーツ類やオイルが過剰に冷却されていることが予想されます。そうした状況では、できる範囲で暖機運転をしたほうが望ましいでしょう」
トヨタは公式サイトのQ&A上で暖機運転が必要かどうかという質問に対し、「通常、暖機運転は必要ありません」と回答していますが、以下のような但し書きがされています。
「ただし、極端な低温時や、しばらくおクルマをご使用されなかった場合は、数十秒間の暖機運転をおこない、ゆっくり発進することをおすすめいたします」
氷点下を大きく下回る時など気温がかなり低い状況では、各オイルや冷却水なども含めてエンジンも同様に冷えた状態となります。
極低温下では、高性能化が図られた現代のクルマとはいえ、ある程度は温めてあげたほうが本来の性能が発揮できるようです。
性能以外の面でも低温下ではエンジンやトランスミッションなどをはじめ、動作する各パーツが凍結していると破損をまねく恐れもあるため、短時間でも暖機したほうが良さそうです。
また、前出の整備士は暖機運転ではなく「暖機走行」というものもあるといいます。
「少し古いクルマに乗るユーザーにはオススメしていますが、暖機運転よりも『暖機走行』は心がけておきたいですね。
暖機走行は走りながらクルマを温めることを言い、エンジンの水温計がおおむね真ん中を指すくらいまでは、回転数を上げすぎないで運転するほか、ステアリングやブレーキもいつもより優しく操作することです。
そうすると、エンジンやトランスミッションなどが十分に温まるのに加え、古いクルマでは劣化しやすいゴム・樹脂パーツも徐々になじんでくるので、クルマに優しいといえます。
高速道路のインターが出発地点から近くにあり、クルマが温まり切っていないのに合流をするためにアクセルをベタ踏みするといったことはぜひとも避けていただきたいです」
人間でたとえるならば、暖機走行は激しいスポーツを行う前に、軽いジョギングやストレッチをすることで身体を温めて筋肉をほぐしてからスポーツをするイメージです。
クルマも人間と同様に、「寝起きで全力ダッシュ」をしてしまうと故障の原因となるようです。
※ ※ ※
このように、暖機運転は現代のクルマでは不要なものとなりましたが、その一方で極低温の環境では推奨されることもあるほか、気温の高低に関わらず乗り始めてすぐに大きな負荷をかける走行をしないことが、愛車を長持ちさせる秘訣のひとつだといえます。
それ以前に極寒地では暖気せずに走ると乗車人数が多いほどフロントガラスが直ぐに曇って視界不良になる。
だから最低でも、フロントガラスと運転席・助手席の窓が曇らないまで暖気しないと周囲の安全確認に支障が出る。
エンジンがどうのこうのという問題とはまた別の話。それでも暖気は不要という人が居るとしたら、運転中は周囲の事など全く眼中にない人でしょうね。